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カナン目指して

「自社が所属している業界の未来は明るい方がよいか、暗い方がよいか」を100人の社長に聞いてみると、おそらく95人は明るい方が良いと答えるだろう。

だがあえて、暗い方が良いと答える社長もいるはず。その理由は、

・業界環境が厳しければ、新規参入が少ない
・環境が厳しいほうが経営者の手腕の差がでやすいから
・会社が変わらねばならない理由を社員に分かりやすく伝えられるか

などだろう。

いわゆる「5号機問題」で揺れるパチンコ業界。平たくいえば、既存の4号機スロットのように、ファンは大儲けすることができなくなるのだ。
それどころか、ゲーム性の部分まで排除された “つまらない” 5号機スロットしか設置できなくなる。パチンコホールは、そのための設備投資負担が莫大であるばかりか、熱心なスロットファンまでもが去りかねないとあって業界は深刻なのだ。

そうした中、業界関係者の生き残り策も真剣そのもの。

こんなブログがある。

・・・
午前中、午後1時からの役員合宿準備
日を追う毎に悪化しつつあるパチンコ業界で、我々も生き残れるのか?辛らつな合宿になりそうだ
・・・
という記述から始まる田村設計(名古屋市)の田村和雄社長のブログがおもしろい。

「おもしろい」などと失礼な表現を使ったが、私も渦中に身を投じて同社の合宿に参加した。目的は、来期以降の「経営マニフェスト」を作るためのもので、土日を利用して役員が名古屋の某所に勢揃いした。

セミの鳴き声がかまびすしい午後、合宿会場に入った私は異変に気づいた。いつも明るくて笑顔が絶えない経営陣が、お通夜のように重苦しいのだ。誰も笑っていない。

それもそのはず。
業界の環境が悪化するということは一年以上も前から折り込み済みではあった。が、予想以上にそれが厳しく、しかも長期化しそうだというのだ。同社の営業社員が全国を回っても、威勢のいい話しはまるでない。どこをどう探してもない。

そうした中、いかにして収益を確保し、成長路線を維持するか。
いや、そもそも成長路線を夢見ていて良いのかという根本的な問いかけすら経営陣にしなければならない。

土曜日午後1時開会。
最初のうちは、「さぁ何から議論しよう」という感じで何を話題にしてもムードが盛り上がってこない。そんな時は、浮き足立たず、あえて実務的な話しをていねいにしっかりとやってゆき、落ち着きを取り戻そう。

1.営業力強化に関する方針
2.新事業開発に関する方針
3.利益向上に関する方針
4.技術力・デザイン力向上に関する方針
5.メルマガ・ブログ・サイト構築に関する方針
6.タムラ塾・企画に関する方針
7.顧客に関する方針
8.社内の環境美化に関する方針
9.人材採用と定着に関する方針
10.社員のモチベーション向上に関する方針
11.人材育成に関する方針
12.財務力強化に関する方針

丹念に議論した。これらの項目の議論と意思決定に数時間を費やし、閉会は夜の12時になった。
各自部屋にもどって「全英女子オープン」を見るゆとりもなく、即、就寝したはずだ。

二日目、午前。
ホワイトボードとプロジェクターを利用して既存事業と新規事業の収益予測シミュレーション。

いくら「厳しい」とは言ったって、マーケットがなくなる訳ではないし、もし仮になくなったとしても別の売上を作っていけばよいだけだ。
問題なのは、何の売上をどのような方法で作っていくのかを決めていないこと。それらを明らかにすれば、未来なんて一瞬で明るくなる。

アイデアを形にしていく。実現可能性の高い数字を組み立てていく。
右肩下がりに思えた未来が、実は、とんでもなく右肩上がりになっていくことが分かり始める。数値化することで初めて見えてくる世界があるのだ。否が応でも会議室内の温度は上がる。

「業界の環境がこれだけ厳しくなると、かえって昔苦しかったことなども思いだされて俄然、ファイトが湧いてくる」と田村節が出始める。

幸い、同社は長年培ってきた顧客との信頼関係やブランド力がある。
どの建築設計事務所と比較しても負けない営業力やデザイン力がある。

だから、合宿で得た結論・・・なぁに、大したことはない!ガンガンいける。いや、本当に田村設計がおもしろくなるのはこれからだ。

「新・5ヶ年計画」のマスタープランを完成させた田村社長のコメントがこれ・・・「イイ時期に・イイ合宿だった!」・・・

モーゼが約束の地・カナンを目指して同胞の民をリードしたように、自社のピンチ脱出プログラムを作り、社員をリードするのは社長の事なのだ。

熱血タムラのドタバタ社長ブログ
http://www.tamra-ar.com/blog/2007tamra/