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大物の釣りあげ方

40才近い男性がアルバイトの応募で面接に来てくれた。
まだ独身で両親と暮らしていて生活コストは安いという。希望月収を聞いたら、15万円あれば充分だという。
「それで大丈夫なの?」と確認すると、「ええ、あとはアフィリでちょこちょこ稼いでますから」

大の男が40にもなって、希望月収15万円。足りない部分はアフィリエイトでお小遣い稼ぎ。
アルバイトとはいえ一緒に仕事をするわけだ。そのスケール感の乏しさが気に入らなくて「不採用」にした。そんな小さい自己概念は捨ててしまえよ。

そんな昨日、友人が沖縄旅行から帰ってきた。

行きつけのホルモン焼屋で土産話を聞きながら一杯また一杯。
魚釣りの話題が出た。沖縄の県魚でもあるグルクンを釣りに行っていたら、ガツーンと大物が食いつき、ビックリした瞬間、糸が切れてしまったという。
糸を切ってしまうほどの大物ってどんな魚だろう?
カツオか?マグロか?ブルーマーリンか?

時々、採用活動をしていて思わぬ大物がヒットしこちらの糸が切れそうになることがある。
当方としては、20才代で月収25万円程度の営業マンを中途募集していたのに、50才位のバリバリ元営業部長で必要月収が60万円なんていう人が訪れる。

そんな時、人物鑑定よりもまず予算が気になるものだ。

その人がうちの会社に入ってくれたら、60万円の支出が発生する。

その経費が出せるか出せないか。そんな凄腕ならば、1~2ヶ月もすれば自分の給料以上の稼ぎをしてくれるのではないか。だが、もしも見込み違いだったらどうしよう。

結局、決断できず採用を見送るのか、それとも賭けてみるか。

人物鑑定さえパスすれば、あとは手順を踏んで関係を強めていこう。

まず、前職場の人事部または経営者に直接電話問い合わせをするのが定石だ。

「○○さんが当社への入社を志望して来られました。御社にお勤めになっていたとのことですが、彼(彼女)の仕事ぶりはいかがなものでしたか?何かトラブル等をおこされた経験はありませんか?彼(彼女)の採用にあたってご忠告いただけることはありませんか」などと聞く。

問題社員であれば、相手が電話口でトーンが鈍るし採用を見送るようにアドバイスしてくれる時もある。その逆に、積極採用すべきですよ、と助言してくれる時だってある。

相手はニュートラルな立場なので包み隠さず情報をくれるものだ。

試用採用する前に、「一週間だけ10万円で働いてもらう」という臨時社員契約を申し出てもよい。

百聞は一見にしかずというが、実際に一緒に働くことから得られる情報はなによりも確かだ。
仕事が出来る・出来ないということ以外に、仕事ぶりや何気ない会話での話し方・聞き方などを観察する。

彼(彼女)に独立を進めても良いだろう。

「そろそろサラリーマン生活をやめてみませんか。あなたの会社を作るのです。そして自分自身を人材派遣するのです。うちが第一号の派遣先としてあなたを受け入れましょう。ただし、当方の予算は月額30万円なので、それで不足する部分を他の方法で稼いでください。それについては、当社の商品をあなたに卸しますから販売してみませんか。
希望月収に到達できるように会社としても全面的に応援しますよ」

社長一人が重い人材を雇用し、リスクを負う必要はない。リスクとチャンスをその人材にも負担させる手があるということだ。
それがうまくいけば、あなたの会社の社員数も売上も驚くほど伸びることになるだろう。