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中小企業格付け

知人の会社がこの秋、株式公開するという。
それを聞いて、「おめでとうございます」と素直に思うが、昔感じていた「株式公開?スゴイですねえ」という感慨は、今やない。
公開は立派ではあるが、凄くはない。

希少価値という面では、レストランが三つ星を取得するほうが難しいかもしれない。

自社株式を公開して資金調達を多様化するという公開本来の目的よりも、会社のシンボリックな目標として「上場」を捉えている企業が相当多いように思う。
そういう会社は、本当に上場するの?という段階になって躊躇することも少なくない。

資金調達目的ではなく、シンボリックな意味で株式公開を目指すくらいなら、別の方法を考えよう。

もっと誰にも分かりやすく、ローコストで入手できる第三者機関のお墨付きを得るのだ。
そのひとつに、「企業格付け」というものがある。

「AAA」(トリプルA)とか、「A」(シングルA)などの記号で大企業や国家の相対的信用力を格付けする、あれを利用する。
かつて、金融不安が日本中を襲ったとき、格付け会社が発表する格付け情報が市場を大きく動かしていたものだ。

当時の格付けは、大企業向け専門だったが、RDB(日本リスク・データ・バンク)と世界的な格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)がタッグを組んで、2005年12月から中堅・中小企業専門の格付けサービスを開始しているのだ。

その名も「日本SME格付け」

SMEとは、Small and Medium sized Enterprise の頭文字。

優れた中小企業の存在が大企業を支えるだけでなく、国家基盤にまでなっているという理由で、このサービスはまず日本でスタートしたのだ。
これによって、条件さえ満たせばあなたの会社も格付けがもらえる。

以下、きんざい社(社団法人金融財政事情研究会)から発行されている著書『中小企業 格付け取得の時代』(大久保豊/稲葉大明 編著)を参考に解説してみたい。

気になる格付けしてくれる対象企業と格付けに要する費用を見てみよう。

「直近決算の年商が10億円から100億円」の会社が対象となり、格付けに要する費用は年間50万円で、詳細な格付け結果レポートも返ってくる。

日本SMEの格付け定義はこうなっている。

aaa・・日本の中小企業の比較において、債務を履行する能力はきわめて高い。スタンダード&プアーズが付与する日本SME格付けのなかで最上位の格付け。

aa・・日本の中小企業間の比較において、債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(aaa)との差は小さい。

a・・・日本の中小企業間の比較において、債務を履行する能力は高いが、上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化から影響を受けやすい。

bbb・・日本の中小企業間の比較において、債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い

bb・・ 日本の中小企業間の比較において、債務を履行する能力がやや 脆弱である。事業環境、財務状況、または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては、債務を期日どおりに履行する能力が不十分となる可能性がある。

b・・・日本の中小企業間の比較において、債務を履行する能力が脆弱である。事業環境、財務状況、または経済状況が悪化した場合には、債務を履行する能力や意思が損なわれやすい。

ccc・・日本の中小企業間の比較において、現時点で脆弱であり、その 債務の履行は、良好な事業環境、財務状況、および経済状況に 依存している。事業環境、財務状況、または経済状況が悪化した場合には、債務を履行できない可能性が高い。

すでに格付けを取得し、専用ロゴをPRしている会社も出始めているようだ。

詳しくはスタンダード&プアーズのこちらの日本語サイトにて。

http://www.standardandpoors.co.jp/site/aboutus.do?method=homePage&r=6&l=JP&Wt.ac=DYKSME

本ならば、こちら。

著書『中小企業「格付け」取得の時代』

蛇足ながら、株式公開と格付け取得は目的が全然違うものなので、単純に比較できるものではないことも申し添えておく。