ある経営者から「武沢さん、”体質”ってなんですか?」と聞かれた。
たしかに、企業体質が強い・弱いとか、財務体質が良い・悪いなどという。だがその「体質」という言葉の意味がばく然としていてよく分からないというのだ。
私は体質という言葉を「癖」とおきかえて理解している。
癖とは、積極的に選んでそうしている場合もあるし、ただ何となくそれが癖になってしまっている場合もある。本音では変えたいと思いつつも、なかなか直らない癖だってある。
浪費癖、遅刻癖、怠け癖、寝坊癖、遊び癖、散らかし癖などネガティブなものもあれば、努力癖、読書癖、勉強癖、掃除癖、貯蓄癖など好ましいものもある。
よい会社を作っていくということは、よい癖を作っていくということであり、「よい癖とは何か?」を知るために勉強するのだ。
会社で働くひとり一人が、皆それぞれの癖をもっている。当然、癖の内容は異なるはずだ。良い癖をもった人がリーダーをやることで、悪い癖の人を矯正していく。また、良いリーダーは部下の中から良い癖をもった人を発見し、彼(彼女)のそうした資質に光をあて会社全体にそれを活かす。
組織の最高責任者である社長は、良い習慣の見本市のような存在であるのが理想だ。
なかでも最低限この癖だけは押さえておかないと、経営者として失格だ、というものがある。
清話会が発行するビジネス情報誌『先見経済』2006年6月15日号の中で船井総研の船井幸雄さんが、「まず儲け癖を」と次のように語っている。
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企業経営を持続させるうえで次の4つの中のどれか一つでも欠けるとうまくいかない。
(1)働き癖
(2)学び癖
(3)節約癖
(4)儲け癖
なかでも真っ先に「儲け癖」をくせにしたい。これがないと、そもそも存続ができない。「儲け癖」を一度身につけると、なくなることはないので早めに癖付けを心がけたい。
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なるほど、「儲け癖」という言葉があるのかと私は初めて知った。ということはその反対に「損癖」があるということか。
私がかねがね「経常1,000万未満は利益と言わない」と申し上げているように、黒字でも辛うじておこげのような黒字しか出せないというのは、それもリッパな「癖」なのだ。
『先見経済』で船井さんはこんなことも付け加えておられる。
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ひとりで癖付けして変わろうとしてもなかなか変われるものではない。
そこでお勧めすることは、儲け癖のある企業や個人と親しくなり、学ぶことだ。もし可能なら、儲け癖のある会社でしばらく勤め、自信と儲け癖を付けてから新しいことを始めるとよい。
あと注意すべきことは、一時的に儲けているだけなのか、それとも多くの人から感謝されて継続的に儲けているのかを見極めることも大切だ。
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清話会の「先見経済」 http://www.seiwakai.com/senken/
社長の癖が会社の癖(体質)になる。よりよい癖をマスターしよう。
まずは「儲け癖」からだ。