私が生まれ育った岐阜県大垣市には東証一部上場企業がいくつかある。いずれも業界を代表する錚々たる会社なのだが、その中のある企業は、いまだに本社社屋が地味な木造だ。
「大したもんだ」と地元でそれが評判だ。
お金を生まないところにはお金をかけないという合理精神と質実剛健な社風であり、製造業中心社会にあっては、こうした企業が尊敬された。むしろ、お金を生まない本社や事務部門にお金をかけ始めたりすれば、周囲は「そろそろあそこもヤバイぞ」とささやき合ったものだ。
だが、知識集約産業においては状況が一変する。
知識労働者が働くオフィスにあっては、職場環境が生産性に直結するからだ。
あたかも製造業が、労働装備率(従業員一人あたりの有形固定資産)の高さを競いあうように、知識集約産業でも、ある程度の施設装備をクリアしてゆかねばならないのだ。
昨日、株式会社リンクアンドモチベーション(東京銀座、小笹芳央社長)を訪問した。
同社の役員から研修事業の活動について楽しいレクチャー受け、その後、社内見学の機会を得た。
結論からいうと、ビックリの連続だった。
日本は広い、こんな会社があるのだと感心することしきり。なるほど、知識集約産業のオフィスのあり方とは、施設装備の高さだけが大切なのではなく、オトナが元気になるためのアイデアが満載された状態を言うのだ、と納得できたのだ。
一度あなたもアポイントを取って見学させていただくと良いだろう。
むしろ歓迎されるかもしれない。
なぜなら、同社の事業のひとつに「ワークプレイスマネジメント」があるからだ。これは、働く場所つまりオフィス環境の整備をコンサルする事業部のことだ。
経営者が社員に対してどのような仕事環境を提供するかは重要な戦略テーマのひとつと同社では考えている。
どんな職場環境が用意されているかによって、社員たちは敏感に自分がどれだけ重要視され、何を期待されているかを感じることになるからだ。オフィス環境を整備していくということにもっともっと力を入れるべき企業は多いはず。
また同社では、「施設装備」のみならず、「情報通信」や「運用」を含めた統合的な対策が必要と説いている。
お金だけかけて立派なオフィスを作ればそれで終わる問題ではない。
すべてが相まって働く人のパフォーマンスが最大化されるのだ。
リンクアンドモチベーションという会社そのものが活性化されたショールームのようだった。
最後に、こうした同社の事例が詳しく紹介された本があるのでお薦めしておこう。
『進化するモチベーション戦略』(柳谷杞一郎著、雷鳥社)で、先月出たばかりの本だ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844134469/
リンクアンドモチベーション http://www.lmi.ne.jp/