文豪や著名ジャーナリストの書斎が雑誌などで公開されることがある。他人の書斎は見ていて楽しいし、あこがれも手伝ってか、必ずその雑誌を買ってしまうものだ。
文筆を生業にしている人にとって、書斎は単なる仕事場というよりは、聖域とよぶに値するほどの緊張感がある。
『男の隠れ家』2006年2月号に城山三郎氏の書斎が公開されていた。
結構いい感じで散らかっている。汚いわけではなく、秩序だって乱れている感じだ。
昨日号では「捨てる」ことの大切さを確認したが、今日は「そうじ」について書いてみたい。私に掃除を語る資格はないので、最近読んで強く印象に残った本『夢をかなえる「そうじ力」』(舛田光洋著、総合法令 刊)に手伝ってもらおう。
著者の舛田さんは北海道出身の35才。「そうじ力」なる言葉を造語し、「そうじ力」によって磁場の改善、心の改善、運勢の好転を提唱してきた。最近では、中小企業の職場環境整備コンサルタントとして「そうじ力」を業績改善などに用いて成果をあげているそうだ。
きっかけは著者自身の失敗と再起だ。
舛田さんは以前、事業で失敗し借金を抱えて離婚、失望、無気力へのプロセスを一直線にあゆんでいったという。
その歩みは同時に、汚さへのプロセスでもあった。部屋を掃除しない、身なりを清潔に保てなくなる(入浴や化粧、ひげ剃り、洗面などをしなくなる)、他人がキレイに片づけると怒る、という悪循環だ。
そんな時、プロのそうじ屋をやっている友人が掃除道具持参でやってきて換気のあと、掃除をはじめた。
「お前も手伝え」と言われ、作者もしぶしぶ手伝った。そして、きれいになった部屋で「どうだ、気持ち良いだろ」と友人。
そのとき、作者ははじめて気持ちいいという爽快感を味わったという。
それが「そうじ」と作者との出会い。
ある心理学者の調査によれば、散らかった部屋、そうじの行き届いていないオフィスなどで生活を続けると、生理的な面でも心拍数や血圧の増加、動悸、首や肩の痛み、イライラが募り、怒りっぽくなるという。
地下鉄や市内のカベの落書きを消し去っただけで米国NY市の犯罪は75%も減った。崩壊寸前の学校が、PTAの親たちによるトイレ掃除で蘇ったケースも大阪にある。こうした事実にもみられるように、環境が人間の生理や行動に極めて大きな影響を及ぼしていると作者。
ゴミやカビ、汚れや不要物が散乱しているということは、それ自体がマイナスの磁場を発しているというのだ。
せっかく自己啓発本を読み、やる気になるような目標を作っても、マイナスの磁場がある職場や自宅では、自己矛盾を起こしてしまうだろう。
そうかぁ。
文豪は近くにたくさんの資料や本が必要だから、あんなに机の上が散乱していたんだ。文豪でもない私が同じことをする必要などない。
今や何でもデジタルの時代。21世紀の文豪のデスクはパソコン以外は何もなくなるだろう。ビジネスピープルであればなおさらだ。
それにしてもこの本、良かった。
160ページと薄く、行間もたっぷり空いているのですぐに読める。職場仲間や家庭内でも回し読みし、「そうじ力」の同志を回りに作ってゆこうじゃないか。
さあ、そうじだ。
『夢をかなえる「そうじ力」』↓
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