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続・人口減少ドリーム

ゴルフ場のティーグランド。

「ちきしょう、アゲインストの風か。せっかくのドラコンなのに。せめてフォローの風が吹いてくれれば俺にも優勝のチャンスがあるのに」

そんなことを考えるゴルファーはいないはずだ。なぜなら、アゲインストもフォローも、みんなに同じ風が吹く。条件は一緒なのだ。あなたにだけ有利・不利があるのではない。風を読み、それに対処できる人が優勝する、ただそれだけだ。

ビジネスだって同じだろう。
「景気が回復してくれれば、うちも楽になるのだが」とか、「日本も昔のように高い経済成長路線に戻ってくれたら経営もやりやすいのに」などと思っていないだろうか。
景気の良し悪しとか、経済成長率の高低は、実はあなたの会社にとってゴルフの風と同じで、中立条件に過ぎない。

与えられた環境のなかでどのように泳ぎ切るかということであり、人口減少社会の到来も、それに同じだ。

さて、人口減少がなぜおきるか、だが。

牛乳ビンの中に雌雄一対のハエを入れ、一定時間ごとにハエの数を測定すると、時間の経過とともにねずみ算式に数が増え、やがてビンの容量の限界に達したあたりでハエの数は水平線をたどるようになる。
この人口増加曲線のことを生物学では「ロジスティック曲線」という。

ビンの容量が人口の容量になるわけだ。だが、人間の場合は国土面積の広さがそのまま人口容量になるわけではない。
『人口減少逆転ビジネス』(古田隆彦著 日本経営合理化協会)によれば、「国の人口=国土の自然環境×文明」 という公式が使われている。
“文明”というとわかりずらいかも知れないが、同著によれば、日本の人口容量は今回を含めて5回、飽和を経験してきたという。

・石器前波(狩猟採集文明)紀元前数千年で終焉
・石器後波(捕獲採集文明)紀元前数百年で終焉
・農業前波(粗放農業文明)1300年ごろで終焉
・農業後波(集約農業文明)1800年代で終焉
・工業現波(加工貿易文明)2100年ごろ終焉

さてロジスティック曲線なのだが、いったん上限に達した曲線がその後、ゆるやかな下降に転じることが多い。この下降曲線を「修正ロジスティック曲線」と言う。

ロジスティック曲線
http://homepage1.nifty.com/gsk/figu.htm#図  ロジス

日本の人口は今年上半期に31,034人減少した。修正ロジスティック曲線に沿って下降に転じたとみられている。
日本が江戸時代以来、約200年ぶりに経験する人口減少社会の始まりだ。
この現象は、今後100年は続く見通しである。つまり、今世紀一杯は減り続け、日本の人口は2100年には4,473万人になるという見通しもある。
(国立社会保障・人口問題研究所予測による、最も確実な低位推計)

もちろん、出生率の回復や外国人の受け入れなど、あらゆる施策を講じるわけだがそれでも、6000万~7000万人にまで減るだろうとみられている。つまり、今後百年かけて日本の人口は約半分になるという見通しなのだ。

本格的、長期的な人口減少社会が到来した。成熟社会、爛熟社会のはじまりなのだが、経営者としては、具体的にどのような考え方で人口減少会をとらえるべきか、また、新たなビジネスチャンスは何なのか、を考えてみたい。

※参考図書
まだ誰も気づいていない大儲けのタネ 『人口減少逆転ビジネス』
http://www.jmca.net/books/furuta/m/30/ 

<あすに続く>