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ピュアな女はバイオレンス

「ちょっとスゴすぎ。女のハードボイルド新機軸。自由に生きたらR指定、ピュアな女はバイオレンス、絶賛!酷評!賛否まっぷたつ!世界の出版社もぶっとんだ!」

これはあるハードボイルド作品の帯にあるキャッチコピーだ。

もし仮に、

「まったく新しいハードボイルドの読み物が登場しました。おもしろいので、あなたにもおすすめします」という帯があるとしたら、あなたならどっちの本を手に取る?

ことほどさように表現力の差、結果の差は計り知れない。


ちなみに、私がこの刺激的なキャッチコピーを見つけたのは、あの児玉清さんの本の中なのだ。「パネルクイズアタック25」でおなじみの児玉さんは、実は著者としても一流だと思っている。

そんな氏の名著『寝ても覚めても本の虫』を読んでいると、本をこよなく愛し、求めてやまない児玉さんの少年のようなピュアな気持ちが伝わってきて、こちらまで豊かな気分になれるのだ。

それにしても児玉さん、文章がうまい。いや、書くことも楽しんでおられるようで、ついこちらも楽しくなって笑ったり、ドキドキしたり。
翻訳物の上質なエンターテイメント作品を中心に何十冊もの本が紹介されているのだが、ふだんそうした本をほとんど読まない私でも、紹介された本のほとんどをamazonで検索してしまうほど、駆り立てられるのだ。

「満足したお客は最高のセールスマン」というが、作り手や売り手以上に上手にその魅力を語ってくれるものだ。

お正月休みくらい、ピュアモルト片手に普段読まないジャンルの名著を一冊いかが。

『寝ても覚めても本の虫』(児玉清 著、新潮社)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4104495018/