自らの欲望の貯蔵庫に火をつけよう。そのためには、言葉づかいを変えることが大切だ。
昨日ご紹介したある社長の理想像は、ご本人いわく「しっくりこない」。
それはこんな内容だった。
・・・
1.良い会社像
・毎年10%以上の増収増益を遂げる高成長企業であること
・売上高に占める粗利益、営業利益の割合は毎年良くなること
・従業員一人あたりの 〃 〃
・良好な財務内容で、しかも年々それが向上していくこと
・学生の新卒定期採用ができること
・組織の新陳代謝が活発で、優秀な人が定着し出世していくこと
2.良い経営者像
・いつも最高の努力を惜しまないこと(仕事も勉強も)
・人間として品位があること
・魅力があること(もし欠点はあっても、それを超えてあり余る長所があること)
・部下や他人の能力に期待し、最善を要求すること
・人を育てることに情熱があり、教え上手であること
・会社の未来に対して明るい希望や夢をもち、それを周囲に語り続け、行動する人であること
・・・
たしかに破綻のないことが書いてあるのだが、どこかつまらない。
興味のない会社の入社案内に書いてある経営理念のようだ。
目標を書いた本人はタテマエやウソを書いているわけではないのに「しっくりこない」というのには、理由が二つ考えられる。
一つは、表現力。
あとの一つは、独自性のなさ。
もっと想像力を働かせて、「我社と私はなくてはならない存在なのだ」と宣言できるようになろう。
書いた内容をもう一度よく読み返し、
・なぜそれをしたいのかを掘りさげ
・それらを突きつめていくとどんな理想が実現できるのか
を問うてみよう。
その結果、あくまで一例ながら、改善前と改善後とではこんな違いができる。比較してみれば、どちらが良いか一目瞭然だろう。
<改善前>
1.良い会社像
・毎年10%以上の増収増益を遂げる高成長企業であること
・売上高に占める粗利益、営業利益の割合は毎年良くなること
・従業員一人あたりの 〃 〃
・良好な財務内容で、しかも年々それが向上していくこと
・学生の新卒定期採用ができること
・組織の新陳代謝が活発で、優秀な人が定着し出世していくこと
↓ ↓ ↓
<改善後>
1.私が思う「良い会社」とは、ひと言でいうと ”究極の会社”だ。
それは、
・日本のビジネスを変える会社であり、
・代用品が効かないサービスを提供する会社であり、
・自社で自社を陳腐化させるほどの開発・リリース力をもち、
・当然、超高収益な会社であり、
・なおかつ、毎年ガンガン成長し続ける会社であり、
・優秀でスマートでかっこよくて尊敬できるビジネスアスリート達がどんどん仲間に入ってくる会社であり、
・そうした仲間が、誇りと夢をもってエキサイティングに仕事できる環境がいつもある
そんな会社を作りたい。
→ それらの結果、いろいろな新たな選択肢が増えてくるだろう。
だが、大切なことは公開企業になることや時価総額を増やすことや、財務内容が良い会社を作ることではない。
もっと大切なことは、『人生は素晴らしい、ビジネスは素晴らしい、仲間は素晴らしい』と毎日実感しながら時を過ごせることだと思う。
そうした”究極の会社”作りのために、私は生涯を捧げる決意だ。
・・・
いかがだろう。グーンと良くなったではないか。
この例のように、想像力を大胆に発揮した表現を使うことで格段に個性がうまれてくる。
あなたの会社の未来像、あなた個人の未来像を個性的かつ魅力的に表現することが、経営者であるあなたの大切な役割ではないだろうか。
未来像がしっくりこない、とお思いの方は、是非やってみよう!