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本は一気に読もう

過日、酒席で読書談義に花がさいた。

一年で何冊本を買い、そのうち何冊読了するかといった話題から始まって、面白い本の見つけ方や読書友だちの探し方にいたるまで話題がひろがっていった。
最後は今年読んだ本のベスト3とワースト3、それに、人生で出会った名著ベスト3まで発表しあったものだ。

さて、この時のメンバー数人のうち一人の例外を除いて、読書の方法にある共通点があることに気づいた。
各々が無意識のうちに身につけた読書方法なのだろうが、これはひょっとしてすごく大切なことなのかもしれない読書法なのだ。

それは、一気に読むことの大切さだ。
沢山の本を読んでいる人ほど一気に読む。一冊の本でモタモタしないのだ。ちなみに、一人の例外とは私のことだ。

私は、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』(文庫で全8巻)を読むだけで三ヶ月はかかる。もちろん、小説を読むばかりでなく、その間にビジネス書や専門書も割り込んでくるわけだが、他のメンバーはおおむね半月以内のうちに一気に読了するというのだ。

私の場合、竜馬とともに人生を歩んでゆきたいので、どうしても先にサクサク進んでいくのをためらうのだが、これが読書法としては良くないと周囲のメンバーがいうのだ。

ホントかなぁ、そんなの好き勝手じゃないの?と思っていた。

そんなことがあった後、速読の師匠の寺田先生に以前から紹介されていた『本を読む本』(講談社学術文庫)を読んでみた。
60年前に書かれたもので、読書の手引き書として世界的に名高い本だという。

この中に「小説の読み方」というコラムがあり、なんとそれには、「小説は一気に読むもの。忙しいときでもなるべく短時間で読むよう努めるべき」と書いてあるのだ。

なるほどなぁ、ほとんどの書物が一気に読むべきものかも知れない、と私の考えが変わった。
本は鮮度が命なのだ。買ったその日が一番読みたいという気持ちが強い日なのだ。その日のうちに読んでしまう。だから、まとめ買いをしておくと賞味期限が切れるのだ。

どうしても味わいたい本は再読時にゆっくり味わうことにしよう。