【今日のクイズ】
来春からは「会計参与」が付いている会社の決算書は信頼され、そうでない決算書は疑ってかかられることになるかも。
「会計参与」って何?
<本文にて>
———-
昨日号では、来春の会社法改正にともなって有限会社が消滅するということと、会社設立時の種々な条件が思いきり緩和されるというお話しをした。
詳しくは昨日号を参照されたい。
7月20日号 http://www.e-comon.co.jp/magazine_show.php?magid=1271
今日は、新しく増える事業形態について述べたい。
有限会社が新設できなくなる一方で、新しい会社の種類が増えることになる。それが、「LLP(有限責任事業組合)」と「LLC(合同会社)」というもの。
ともに、利益や権限の配分が出資比率に拘束されないし、取締役や監査役の設置も義務づけられていないなど、従来にない自由度の高さをもつ事業形態なのだ。
では、簡単にそれぞれの仕組みや違いについて説明しよう。
まず来春を待たずに年内にも施行されそうなのが有限責任事業組合(Limited Liability Partnership、以下LLPという)だ。
株式会社や有限会社が持つメリットのひとつに”有限責任”というものがある。有限責任とは、出資者は出資した金額以上の責任を負わないというもの。合名会社は全員が無限責任であり、合資会社は代表者が無限、出資者が有限であるのに比べると、まずLLPはその点で有利といえよう。
その”有限責任”のメリットを享受しつつ、民法組合(契約に基づく、複数の人間による共同の目的達成のための団体)であり、法人格は持たないものがLLPなのだ。
永続的発展を目指す法人とは異なり、短期集中的なプロジェクト事業として活用されることになろう。また、LLPは法人格を持たないことから、課税は組合員に対して直接課税される。組合員は本業での利益と通算できるので節税狙いも可能だ。
ということは、将来の新事業を見越したリサーチ事業としてまずLLPを立ち上げ、赤字覚悟でパートナーと幾つかのテストマーケティングを行った上で本業にそれを反映させていくことも可能となる。
もちろん、それは今までの会社法の中でもできたことではあるが、より機動的に組合を作れるようになった意味は大きい。
社長育成機関としてLLPを活用することも充分可能だろう。
もうひとつが来春から設立可能となる「合同会社」という新スタイルの法人だ。米国では Limited Liability Company(以下LLC)という合同会社と同形態の会社が広く普及している。
LLPとの一番大きな違いは、法人格があるという点だ。従って課税は法人である合同会社に対してなされることになる。
最後に、新設される「会計参与」制度についても言及しておこう。
新・会社法以後は、あらゆる企業で会計参与をおくことが可能となる。
従来からも顧問として公認会計士や税理士に決算書類の作成や申告手続きを委託してきている会社でも、「会計参与」はそれと異なるものだと理解しよう。
企業にとって顧問会計士や顧問税理士は、あくまで外部の立場で助言や応援をするものであったのに対し、「会計参与」は役員と同じような内部の立場で決算書を作り、時には債権者(取引先や金融機関)に対する責任も負うことになるというもの。
「会計参与」制度の新設は、会計士や税理士にとってはまたとないビジネスチャンスでもあり、虎視眈々と狙っているマーケットなのだが、責任が発生することからハイリスクでもある。
企業と外部顧問との責任ある関係作りがますます重要となる制度として注目している。
あなたも「新・会社法」への備えを怠りなく。