【今日のクイズ】
来春の「会社法」大改正によって、来年4月1日以降は資本金一円でも株式会社が作れるようになる一方、新規で有限会社を設立することができなくなりま す。
そこで問題。
現行の有限会社は来春以降、株式会社と名乗るのでしょうか?それとも今までどおり有限会社と名乗るのでしょうか?142万社もある有限会社にとっては大 事な問題ですよね。
<正解は本文にて>
—————-
“経営は環境適応業”と言われるが、会社を取りまく環境は時に大きく、時には小さく変わり続けている。
そして、もうすぐ「ビッグ・ウエンズデイ」のような大きな変化の波がやってくる。硬直的で不自由さを感じることもあった「会社法」がなんと50年ぶりに大改正されるのだ。
すでに主要なビジネス誌や書籍で解説されているので内容をご存知の方も多かろう。着々と善後策を練っている社長もいるはずだ。
新・会社法の改正点は多岐にわたるため、どこが重要なポイントなのかは会社の規模や今後のビジョンによって変わる。
今日は、中小零細規模の会社やこれから会社を起こそうという方に向けて新・会社法のポイントを整理してみたい。
1.「有限会社」は法的に消滅
有限会社は、来年4月1日以降は新設できなくなる。その一方で、資本金一円からでも株式会社が作れるようになった。今でも新事業創出促進法に基づく一円株式会社は設立可能だが、設立の際の手続きや条件などを考えれば来春の新・会社法での株式会社を作るほうがおすすめだ。
問題は142万社ある有限会社の処遇だ。
来春以降、有限会社のあつかいは、法的に株式会社となる。有限会社法が廃止されるのにともない、法的な有限会社は存在しなくなるのだ。
ただし、呼称として有限会社は残る。
有限会社が株式会社にしたければ、有限会社を解散して株式会社を新設し、業務を移行する必要があるのだ。従来の有限会社がそのまま名前だけを株式会社に変えることは許されない。発覚すれば罰せられる。
ずっと有限会社の名称で半永久的に営業を続ける手もある。将来において株式公開の予定もなく、株式会社と名乗ったところで信用増大につながらないとお考えならばそれも悪くない。だが、長い年月をかけて有限会社は特殊な存在になっていくに違いなく、企業の社会性を考慮するならば早めに株式会社化しておくことをおすすめする。
※ちなみに、合資会社と合名会社は新・会社法以後も設立可能だし、存続可能だ。
2.会社設立が容易に
資本金一円でも株式会社が作れるようになる。実際上は一円という資本金ではすぐに債務超過となる可能性が高く、バランスシートを悪くするだけなので、あえて奇をてらって一円会社を作る意味は乏しい。
だが、最低資本金の撤廃は大いに歓迎したい。これによって、日本の起業率が高くなることを切望する。
しかも今回の改正で、取締役の最低人数も撤廃された。今までの株式会社では、取締役3人以上、監査役一人以上という制限があったのが、取り払われたのだ。これによって自分一人取締役だってOKだ。
また、今まで会社設立時に必要だった資本金の払込金保管証明は不要となり、残高証明だけでOKとなった。法人設立にともなう手続きが簡素化されたのはうれしい。
また、これは今回の法改正の痛しかゆしの部分だと思うが、同一市町村内で同一の営業内容で同一の商号を登記できないという制度も撤廃される。類似商号調査の必要が実質上なくなるのだが、これによって既存企業がわずらわしいことに巻き込まれなければ良いと願う。
とは言っても”何でもあり”ではないので、商標登録なりで知的財産権を保護するか、不正競争防止法に該当しないかなどのチェックをすれば大丈夫だろう。
<明日は、今回の改正のもうひとつの目玉と言われている点を。>