我を忘れてドンチャン騒ぎする酒は大切だ。仲間と気軽な話題でワイワイやるのもすごく楽しい。こうした酒があるからまたがんばれる。
だが、もっと他にも酒の飲み方がある。時には真剣でまじめな酒の飲み方もできるようにしておこう。そう思わされるような出来事が最近、相次いでおきた。
一回めは、あるセミナー終了後の懇親会。楽しく盛りあがったのだが参加者の一人から翌日、こんなメールを頂戴した。
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一次会のセミナーは大変充実していたのですが、二次会では急に皆さんが知り合いの仲良しクラブの集まりのようで、正直な話、私は何か場違いな場所に来たように感じました。
せっかくの懇親会だったのに、あまりお話しできる時間がなくて残念でした。
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実はこのセミナーではほとんどの方が初対面。この方だけが仲間外れだったのではない。幹事さんが場を和らげようと楽しく演出してくれたのだが、結果的にはこう受け止める参加者がいたことは事実として受け止めよう。
あと一回は昨夜。
ある経営者団体での研究会講座を受け持ったあとの二次会。11名の参加者が居酒屋のテーブルに居並ぶ。
向こう三軒両隣とは話せるが、そこから先は混んでる居酒屋で移動しづらい。酒も入ると動くのも億劫になる。
お開きの時間が近づいたとき、参加者のひとりがふともらした。
「幹事さんがもっと仕切ってくれて、全体で交流できる時間がほしかった。今日の感想でもよいし、決意でも良い。談笑するだけが懇親会だろうか?」という声だ。
「酒を飲みながらコンパを命がけで行う事が大切」と説くのは京セラの稲盛名誉会長。
経営にはフィロソフィーの共有化が最も大切であり、そのためにはコンパが一番だという。会の目的や参加者の期待によって飲み会のあり方は変わるが、複数の飲み会運営方法を知っておこう。
京セラ流コンパのやり方があるらしい。私の知っている範囲ではこうだ。(補足や訂正があればどなたかお願いしたい)
・広い畳敷きの部屋を貸し切る(または作る)
・車座の中心人物もしくは司会者が一人一人を指して発言を求め、本音で議論を戦わせていく。
・上司が部下の酒をつぐ(なるべく部下に不要な気を使わせない)
・酒を飲むし、切らさない。だが、飲めない人には強要しない
・だいたいの終了時刻を決めておき、お開きのときには一人ひとこと決意表明する
・中座しない、させない(携帯電話禁止)
・テーマを明確にし、真剣な議論をする
・ジョークは必要だが、脱線話は許さない
京セラ支援によって順調に経営再建した総合複写機メーカー「京セラミタ」(旧・三田工業)では、倒産後まもなく、経理課の部屋を改装して「コンパルーム」を作った。この効果は計り知れなかったという。なるほど、社内にコンパルームがあれば理想的だ。
よし、私も新しい酒の飲み方をマスターしよう。