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プロフェッショナルな関係・余話

昨日号の内容について、愛知県のYさんから反論が届いた。

・・・
昨日の記事の中で、武沢さんはこう書いておられます。
「社長も含めた役員は、組織の最終成果責任者として、個々に明文化した数値責任を負う存在なのだ。期間のなかで然るべき数値責任を全うできれば、ポストや報酬が維持・向上できる」

私はこの説に疑問を感じました。『数字結果を出すことが全て』てとなるとその手段・方法はどんなやり方でもいいということになるのではないでしょうか。
数字結果以外に残すべきことは他にもあると思います。例えば人材・企業風土・未来の可能性など。そのあたりいかがお考えですか。
・・・

昨日号で述べたように私は、やっぱり経営者は、プロフェッショナルな存在として「結果がすべて」だと考えているのだ。

まずYさんは、数字結果=業績と考えておられるフシがあるが、有形の目標も無形の目標も数値目標に置きかえるべきだと思うのだ。
人材育成も企業風土改革もなにもかも、大切な目標であればこそ、数字で測定可能な状態にしておく必要がある。


Yさんの指摘にあるように企業の願いや理念は、業績だけではない。

・物心両面で社員を幸せにしてあげたい
・一生懸命仕事をする誠実な人材集団でありたい
・お客様に喜ばれ、愛され、支持される企業でありたい
・地域社会ならびに日本、そして世界に貢献したい
・人が安心して働き、定着し、育つ会社でありたい
・社員と自分の家族に充分報いてあげたい
・ゆとりある資金力と強じんな財務体質を築きたい
・業界のリーディングカンパニーになりたい
・技術力と製品力においてオンリーワンと呼ばれる存在でありたい
・仕事を通して豊かな人間関係を築きたい
・・・etc.

こうした願いを実現させるためには、測定可能な数字目標におきかえるのだ。極論すれば、数字化できない目標などひとつもない。
例をあげよう。

・物心両面で社員を幸せにするために
社員の平均賃金を同業者平均の20%上を維持する、労働分配率(粗利益に占める人件費の割合)をχ%にする、年間総労働時間を2200時間以内にする、年間2回は社員と対話する集会をもつ、社員満足度調査を行い毎年ポイントを改善していく

・お客様に喜ばれたい
    リピーター比率をχ%以上にする、お客様からの紹介を年間χ名にする
    
このように、「思い」は具体的な数字目標に置きかえることが可能だ。

ここまで書いて、かつて名古屋の友人・朴さんが、米国マイクロソフト本社を訪問したときのレポートを投稿してくださったのを思い出した。三年前の記事だが、今日のテーマと関連するのでご紹介したい。

・・・会議室に入りレイコさんのセミナーが始まりました。

レイコさんからトップであるビルゲイツまで、組織として7階層あるのですが、彼女曰く「マイクロソフトは、社員にとって仕事がやりやすい環境である。トップのビルの心情や考えは正しく私に伝わるし、共感しているわ」という発言でした。開口一番から言い切る、この発言には驚きました。

マイクロソフト全従業員は約3万5千人。平均年齢35歳。男性は70%との
事。コンピュータ大好き人間が大人になった感じとのことです。
一人一人が会社に対して何をすれば良いかを絶えず問われています。

Aggressive Innovation(アグレッシブ・イノベーション)

「攻撃的な改革」・・・新商品、新技術に対していつも攻撃的に取り組んでいる。いつも危機感をもっているとの事。

Conservative Cost(コンサバチブ・コスト)

マイクロソフトは、基本的にケチである。考えろ!知恵を出せ!と求められる。

Always Changing(オールウエイズ・チェンジング)

状況はいつも変化している。反復的な仕事をする場合はどういう効率が出来るか、そしてなぜそれを反復するのかをいつも説明する。

Fun Loving(ファン・ラビング)

とても面白い事が好き。パーティーなどはしょっちゅう開催される。
メリハリもあって、新商品のリリースまでは徹夜が続くこともある。
楽しいことがいっぱいあるから、無理難題にも挑めるのでしょう。

そして、間接部門も含めて仕事の内容は全て数値化を求められます。
これは、「メトリックス」といって、赤か黒かをはっきりさせて中途半端は許されないとの事。
全ての業務は、数字で表せるように仕事のやり方も変えていかなければいけない。

Quarterly Review(四半期総括)
四半期ごとに上司と部下の個人面談が朝8時から夕方遅くまで、ランチも食べながら長時間行われるそうです。

面接の視点は、自分に対する業績と上司が自分につけた成績を比べて違いをディスカッションする。

どんな業績を果たしたか?
 仕事上、何が上手くいったか?
 何を上達すべきか?
 人生の目標に関して
 どんなスキルを身につけたいか?
 10年後、何をしたいか。その為にはどんなトレーニングが必要か?

業績を自分自身で売り込む。数字を上げるしかない。

衝撃の連続のセミナーでした。そして社員食堂でもランチを一緒にご馳走になりました。ロビーコーナーには、いつもサンドイッチの軽食やデザートドリンクが豊富においてありました。

オフィスは、個人ブースに仕切られたスペースで開発している社員やゲームに興じる社員など。

レイコさんに「ゲームをしている社員は何も注意されないのか?」と質問すると、「注意されないわ。彼にも業務が数字で表されていて期限とゴールも設定されているから。アウトプットを出せば上司も何も言わないし、本人の責任の中にあるから」と答えました。

そして、仕事は厳しいですねと尋ねたら、「勿論、仕事はハードで厳しい。ストレスもある。しかしストレスはファミリーで開放される。
そして、基本的にはもし厳しくて嫌だとか思うなら早くやめて、自分が納得できる仕事、会社を選べばいい。それが本人にとって最も幸せなはずだから。」とあっさり言い切られました。

・・・以上、朴さんのメール引用

Yさん、いかがだろう。

朴さんのサイト「カムサ」 http://www.kamsa.cc/