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プロフェッショナルな関係

昨日のつづき。

「私は社長ですが、どのような意識や行動で周囲が熱くなるのでしょうか?とくにナンバー2のやる気を引き出そうとしているのですが、今いちです。むしろその部下の方がとても熱い。悩んでしまいます。」

という山形の経営者の質問を受けて、まずは周囲を巻き込んでいくリーダーシップについて『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』のジム・コリンズの節をご紹介した。それが昨日号の内容である。

この名著の作者ジムは、リーダーシップについてこう結んでいる。

・・・「野心は会社のために」
第五水準の指導者は、自尊心の対象を自分自身にではなく、偉大な企業を作るという大きな目標に向けている。我や欲がないのではない。
それどころか、信じがたいほど大きな野心をもっているのだが、その野心はなによりも組織に向けられていて、自分自身には向けられていない。
・・・

さて、今日は「ナンバー2(副社長や専務)のやる気をいかに引き出すか」という質問に答えていきたい。

まずその前に、イタリア・セリエAで活躍中の中田ヒデ選手。彼の起用法をめぐってイタリア人監督に向かって日本のマスコミが質問した。
「日本では最近、監督のヒデ起用法に疑問の声が出ていますか、ヒデとの関係でなにか変化があったのですか?」すると監督はこう即答した。

「ヒデとの関係?以前も今も、あるのはプロフェッショナルな関係だよ」

プロフェッショナルな関係はプロスポーツに限った話ではない。
会社と役員の関係もそうだ。

冒頭の質問だが、基本的には、会社のナンバー2でも3でも4でも、経営メンバーには”やる気”が問われることはない。プロフェッショナルな関係とは、結果がすべてなのだ。プロセスにおける”やる気”とか“努力”とか”責任感”などの情意項目が問われるのは、一般社員だけである。

社長も含めた役員は、組織の最終成果責任者として、「いつまでにどのような数字結果を出すか」ということを個々に明文化した数値責任を負う存在なのだ。

一年とか二年の期間のなかでしかるべき数値責任を全うできれば、ポストや報酬が維持・向上できる。全うできなければ全うできそうな他の人にポストを譲る。たとえ、譲る相手が後輩であったり教え子であったりしても関係ない。
役員、つまり経営のプロフェッショナルには世俗的な上下関係はない。