未分類

意志の力をあてにしない

シュークリームやチョコレートなど甘いものに目がない私は、体重増加に悩まされていた。おまけに酒も大好きで飲み出したらトコトン飲み、かつ食う。
とうとう昨年末の人間ドックでも異常が発見され、メガネをかけた若い女医に冷たく宣言された。

「武沢さん、検診の結果を拝見するかぎり、今日から薬を飲んでいただく必要があります」
「え?薬ですか」
「はい、血圧を抑える薬、それにコレステロール、それと・・・」
「先生、何とかなりませんか?」
「何がですか」
「薬を飲まないで済む方法を教えてほしい」
「(即)ムリでしょ。今まで検診結果が出るたびに食事や運動の改善をお願いしてきたはずです。それでも改善されないどころかむしろ悪化しているということは、あなたの体質の問題でしょう。年令の増加でやむをえない部分もあるので、薬で対処するしかないでしょうね」

この女医は私を信用していない。完全に疑っているようだ。ムッとした私は相当粘った。「飲みたくない」と主張し、とうとう勝った。

だが誓わされた。

・半年以内に再受診すること
・次の受診時までに体重を10キロ程度減量すること(78キロ→68キロ)
・その結果、血圧やコレステロールを基準値内におさめること

「ロッキー」のような闘いが始まった。
女医との闘いであり、自分との闘いでもある。
ホットヨガというもっとも過激なヨガクラブにも通い始めた。週末断食を何度か経験した。酒を断つために晩ご飯を食べなかったことも何度かある。一時期は相当順調に体重が減った。

「勝てるぞ」・・・

しかし落とし穴が待っていた。5月の連休に気を緩めた私は運動せず飲食にふけった。
闘いが始まって間もなく半年を迎えるというのに、まずいことに体重は前回の検診時レベルにまで戻ってしまった。受診日が刻々と迫る中、ヨガで汗を流し、ジムで筋力トレーニングに励んでいるかたわらで、コンビニで買ったシュークリームを寝る前に食べている自分が今でもいる。

これは自分の弱さなのか、意志薄弱人間なのか、それとも健康軽視なのか・・・。
この事実を友人に告白したところ、まったく予期せぬ言葉が彼の口から飛び出てきた。

「それは、問題解決のための行動分析学、つまりパフォーマンス・マネジメントの問題でしょ。意志の力に依存する方法では長続きしませんよ」
「へえ、意志の力じゃないということ。なんだかうれしい。そのパフォーマンス・マネジメントって何?」

<明日につづく>