少年よ大志を抱け
小さい志ではなくて、大きな志をもつことをクラーク博士は説いた。
日本でも江戸時代の儒学者・貝原益軒は同様のことを次のように書いている。
「志を立つるは大にして高きを欲し、小にして低きを欲せず」
それでは、志が大にして高い小にして低い、とは、具体的に何を言うのだろうか?
大風呂敷を広げることが大にして高き志というのか?
会社経営でいえば、株式公開企業になって時価総額を日本一、いや世界一にすることが“大きくて高い”志ということなのだろうか?私は「否」だと思う。
ルソーの今日の言葉を読み返そう。
「十歳にしては菓子に動かされ、二十歳にしては恋人に、三十歳にしては快楽に、四十歳にしては野心に、五十歳にしては貪欲に動かされる。いつになったら、人はただ知恵のみを追うて進むのであろう」
世界一の会社になるという目標は、相対的なものだ。自分以外の会社、とくに自社を脅かしかねない会社はすべてライバルや敵となる。
そんな考え方は、ルソーのいう野心や貪欲をもとにしたものだろう。
野心や貪欲も元気があって悪くないが、出来るものなら、知恵のみを追って生きるような会社経営というものを考えられないだろうか。
人気メルマガ「情熱パチンコビジネス」で高名な株式会社田村設計の田村社長は、トヨタ自動車の強みをこんな言葉で語っている。
「世界を代表する自動車メーカー『トヨタ』の誕生まで、正味でいえばたった四十年ですよ。我社の歴史の二倍にすぎない。40年前といえば、僕は高専に通っていたが、それがトヨタ本社のすぐ近くにあった。そのころを忘れもしない。空冷エンジのパブリカが出て、日本の若者を熱中させたが、世界の自動車メーカーとは規模的にも質的にもとてもたちうちできる会社じゃなかった。まだコロナもカローラも存在しない。そのトヨタが今日あるのは、くりかえされる改善の歴史、会社全体が改善を積み重ねていくという理念があるおかげだと思うのです」
株式会社田村設計 http://www.tamra-ar.com/
組織のDNAが知恵を追い求める会社になること。それがトヨタの場合は「終わりなき改善」なのであり、あなたの会社では「終わりなき冒険」や「終わりなき感動の提供」などでも良いと思う。
知恵をもとめる生き方とは、理念や志をもとめる生き方であり、それが、業績面にも直結してくることを計るのが経営者の大切な仕事なのだ。