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大人(たいじん)

山口県教育会発行の「松陰先生に学ぶ」によれば、今日の言葉でご紹介した松陰語録の意味は次のようになる。

「体はその人だけのものであるが、心は個人のものを越えて社会や国家のものとすることができる。私的なものである体を公のために捧げる人を人徳のすぐれた『大人』といい、社会や国家を自分の都合のよいように利用しようとする人をつまらぬ『小人』というのである」


経営者は志をもとう。そのためには、日頃から私と公をわけて考える努力をしよう。
自分のこと、自社のことだけをいつも考えている人は、周囲から「小人」扱いを受けるのは今の世でも変わらない。
自分の体や時間を公に捧げようとする「大人」は、今でも周囲から尊敬され、畏敬の念でみられる。

東京都江東区の吉田さん(38才 男性)も「大人」の素質充分だ。いや、すでに堂々たる「大人」であろう。
吉田さんの壮絶なメールをご紹介したい。

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突然のメール、大変失礼いたします。いつも読ませて頂いており、非常に参考になっております。
妻と2歳の子供がおります。もし、「がんばれ社長」読者の方々にとって、何かしらのプラスになればと思い、私の「失敗、近況と現実、今後の予定」についてお話させて頂ければ幸いと存じます。

約1年5ヶ月前の2003年8月、フランチャイズにて経営していた飲食店を閉鎖致しました。その時の負債は本部からの借金1,200万円。義父と妻が連帯保証人となっていたため、深刻かつ大変な騒ぎになってしまいました。
昨年9月、この問題はどうにか収拾いたしましたが、店舗閉店以来、生活は正にどん底、就職もなかなかうまくいかず、時給950円のアルバイトをしてどうにか生計を立てております。

この苦しいさなか、子供は2歳を向かえました。私も積極的に子育てをする中、ふとしたことで子供にまつわるビジネスアイデアを思い付き、今春、4月1日を目標に中小企業挑戦支援法の特例措置を利用し、会社を設立しよう!と考えておりました。

 しかし、昨年末、体調不良につき病院で検査を受けたところ、この年齢にして、「胃がん」の診断が下されました。もう間もなく入院・手術の予定です。胃の全部と脾臓の摘出ということになってしまいました。

店舗を閉鎖して以来、双方の両親・妻と子供には本当に多大なる心配と迷惑をかけ、これからその分を取り返すべく立ち上がろう、という時に今度はコレです。

引き続き心配かけてしまうこととなってしまい、情けないやら、悔しいやらで本当にたまりません。 涙がでてきます。 
このままの状態で死ぬことだけは絶対にできない! 避けたい!
何としてでも、もう一度立ち上がり、皆に安心してもらいたい!

ですから私は、退院後予定通り起業しよう! と心を新たにしております。癌に負けることなく、絶対にもう一度立ち上がり、成し遂げたい、そう考えております。 

もし、よろしければ、こんな私を題材に使っていただいてかまいません。いや、こんな私でもこんなに頑張っているんだ、ということを、「がんばれ社長」読者の方々にお伝えしたい、そう考えております。

 もちろん、喜んで全面的に取材には応じたいと考えております。 
入院中の病院にもぜひ来ていただきたいですし、退院後の私の起業していく姿も追いかけていただきたいと考えております。少し大げさかもしれませんが、命をかけた起業の様をお伝えし、読者の皆さんに何かを感じて頂ければ・・・と思っております。 

長い文章を勝手ながらお送りいたしまして大変申しわけございませんでした。

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吉田さんのメールアドレス maguma-farm@mte.biglobe.ne.jp

「事業で失敗したって五体満足のその身体があるじゃないか」という励ましは今の吉田さんには通用しない。
彼にあるのは、家族や友人の励ましと、本人の気力だけだ。

この逆境で問われるのは人間の強さ、真の実力である。じたばたせず、心を公にする「大人」の風情が吉田さんにはすでに備わっている。

「がんばれ社長!」、「がんばれ吉田!!」