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現実から未来が見える

楽しい食事会を過ごした。

創業以来20年、一度も赤字を出したことがないし、金銭的苦労をしたこともない。こんなにも会社経営って簡単なものなのに、世間では社長業って大変だ、なんて言っている意味がわからない。よし、俺も一発、社長らしいことをやってみよう・・・。
と、売上高の何倍もの借金をして自社ビルを建てたとたんにバブルが崩壊し、倒産の危機に見舞われたという社長と食事をご一緒した。

私が「社長、よぶんなことをするからですよ」と冷やかすと、この社長、神妙な顔で次のような話しをしてくれた。

「武沢さん、私はものすごくラッキーだったと思う。なぜなら、倒産の危機に見舞われたおかげでそれ以来10何年もの間、運転資金を銀行から借りることができなくなった。そのおかげで利益が酸素のように大事なものだと実感できるようになったし、社長らしい仕事をやれるようになったと思う。」

「社長らしい仕事って何か」と質問すると、即答で「現実に向き合うことで将来に向き合うことでしょ」という答えが返ってきた。この社長、資金繰りに追われて困窮しているときは、現実から逃げている自分を発見したというからすごい。

月末に幾ら足りないのか、いつなら支払えるのか、来月はどんな見通しなのか、という問題に直面すること。経理まかせ、営業まかせにせず、社長がそれらの現実に立ち向かう勇気をみせたとき、会社は良い方向に向かう。