サッカー・スペイン代表のシャビ・エルナンデス(34)が今季限りでバルセロナを退団し、カタールのクラブに年俸 2,500万ユーロ(約35億円)で移籍すると報じられている。サッカーに関していえば、カタールは FIFA ランキングで 100位前後
で推移しており、今も 86位とレベルは高くない。
2022年の W 杯開催が決まっている国とはいえ、シャビもずいぶん派手に都落ちするものだと思った。おまけに W 杯開催は賄賂によるものとの疑いから調査が続けられており、今年の秋以降に報告される結果次第では、再投票が行われる可能性もあるというではないか。
そんなこともあって、カタールという国に対するイメージはあまり好印象ではなかった。しかし最近、テレビの旅番組のカタール特集を見て、シャビもなかなか先見の明があるではないか、と思い始めている。
ネットによれば、2013年のカタールの GDP は 2025億ドルで、埼玉県とほぼ同じ経済規模である。それだけをみれば小さい国だが、国民が 205万人しかいないため、一人当たりの GDP は 10万ドルと世界第三位に相当する。かつて世界一を誇った日本は 3.8万ドルで二十四位となっている。カタールでは富裕世帯の割合も高く、およそ 7世帯に 1世帯が金融資産 100万ドル(1億円)以上を保有しているという。日本は、富裕層人口、富裕層世帯ともに、アメリカに次いで世界二位だが富裕層は 29世帯に 1世帯であり、カタールの 4分の 1となっている。
カタールでは子どもが生まれると 2,000万円支給される。子どもの教育費は義務教育の高校生まで無料。大学は世界の有名校をカタールに誘致し、一流の教育機会を国民に与えようとしている。さらに、大学を卒業すると一定の土地を無償で借りることができ、10年後には、その土地が自分のものとなる。
また、カタールの国民は所得税や消費税がない。無税なのである。さらには、医療費、電気代、電話代まで無料だという。収入が良いので治安も安定している。こうした大盤振る舞いができる理由は、豊富な天然資源。石油や天然ガスを輸出し、莫大な富を得ているからだ。
首都ドーハは、世界の金融センターを目ざして変貌を遂げており、かつて閉鎖的な政策がとられたときには「世界一退屈な都市」といわれたが、今は積極的な観光誘致政策で変わりつつあるそうだ。
カタール特集をしていた番組にカタール人が登場した。司会者が、「将来の不安はない?」と聞くと、即答で「ない」と答えていた。収入が高く、税金も教育費も光熱費も電話代も要らないうえに、土地までもらえる。夢のような国、夢のような国民、に思えてくる。
無論、良いことばかりではない。紛争地帯の中東にあることから、いついかなる政情不安に巻きこまれるか予測できない面がある。地下に眠る埋蔵資源とて無限ではない。しかも代替エネルギーが開発されたら、寄って立つ基盤は揺らぐ。それに、砂漠のなかにある国なので砂嵐の被害が甚大だ。イスラム国家ゆえに飲酒や食肉の規制、ラマダンの遵守、一夫多妻制、女性の服装の制限など戸まどうことも多いだろう。
そうした点を考慮しても、カタールが国家としてひとつの理想的な姿になっていることは事実だろう。日本もそれに近いことができなくはない。世界一の○○国家(○○に技術とか、資源とか、人材を入れる)を目ざし、1.2億の国民が団結することでそうした国づくりが可能に思えなくもない。
国のやることは当てにならない、待てない、というのなら会社でやることもできる。たとえば、社員は家賃がタダ。住む家、交通費、食事、酒は会社から与えられ、子どもの養育費もすべて会社負担。おまけに医療費の個人負担分も会社がもつ。会社を退職したあとも、充実した年金制度で悠々自適なシニアライフをおくり、65歳以降でも仕事をしたい人はすべてボランティアが前提。こうした充実した社員優遇を行う企業の法人税は減免するというような特例もしくは特区をつくることで、企業と社員の理想郷が作れると思うがいかがだろう。
★世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?「カタール前編」
→ http://www.fujitv.co.jp/sekaiittemitara/episodes/episode_n_33.html