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変われよ!先物(さきもの)

一本一本は子供でも簡単にちぎれる細い糸。だが、それをより合わせていけば太いロープになり、大型タンカーをつなぎとめることも可能になる。何ごとも積み重ねることが大切だ、ということだが・・。

企業と企業の取引もこれに似ている。最初は簡単にちぎれるような小さい取引を重ねる。その取引において信用・信頼を勝ち取っていくと、やがて兄弟か夫婦であるかのような太い関係になっていくだろう。

一本一本をよりあわせていくような営業方法を考案しよう。
その結果、スマートにアポイントがとれ、スマートにお客から資料請求をしてもらい、スマートに見込客を集客するなどのことが可能になるはずだ。
そんな営業システムを考えてほしい。

10年前と同じ営業方法をいまだにやっている業種も少なくない。今日だけで二本も次のようなアポ電話が入った。商品先物取引への勧誘だ。

営:「代表者の方おみえですか?」(業種も社長名も知らないようだ)
武:「はい、私ですが」
営:「わたしはスターダスト産業(仮)の関ヶ原と言います。こんにちは」(テンションが高そうだ)
武:「こんにちは」
営:「実は、今日からそちららの地区を担当で回らせていただいています。一度社長様にご挨拶だけでもと思いましてお電話しました。」
  (もっと上手なアプローチ法はないのだろうか?)
武:「ご要件は?」
営:「資産運用に関することなのですが」
武:「悪いけど運用するような資産はないので」(これは本当だ)
営:「最初にそうおっしゃる方ほど資産運用に長けていらっしゃるようで・・・」
(その後、1分ほどやりとり)

武:「申し訳ないけど、今興味がないし取り込み中なので切るよ」
営:「せめて資料だけでも近日中にお持ちしてもよろしいですか?」
武:「興味ないと言ってるでしょう!」
営:「興味をもっていただくのが私の仕事でして」
武:「くどいなぁ、二度と電話しないで下さい。じゃあ切ります」
営:「あっ」
 ガチャ!

私だって一生懸命やっている関ヶ原君に対して、冷たくするのは不本意だ。だがそうせざるを得ない状況を作っているのは彼だ。また、そうさせているのはこの会社の営業責任者と経営者なのだ。

どなたもがこのような経験をしていることだろう。
電話で受付や秘書を突破するノウハウ、電話におけるねばり強さ、当意即妙のやりとりで一秒でも見込客と長く話す、そんなことだけが営業マンのノウハウなのではないかと思うほど、困った人が多い。
先日など、不愉快さに怒りくるってしまった私がその会社の上司宛に抗議の電話をしたこともある。

私としては、このスターダスト産業(仮)の関ヶ原さんにがんばって欲しいと思う。それに、商品先物取引の会社全体にも、もっとがんばってほしいと思っている。個人投資家が安心して取引できる健全な商品先物市場を形成することには大いに意義があることだと思うからだ。

先物の会社からどんどん公開企業も増えてきた今、きっとスマートで近代的な営業システムをもった会社もあると思うが、まだまだ不充分ではないだろうか。
私たちは、これを他山の石としたい。あなたの会社の営業は、お客から歓迎され、信頼関係を築いていくようなシステムになっているだろうか。

米国のコンサルタント、トム・ピーターズが書いた『経営破壊』
(TBSブリタニカ刊)の中にこんな話があるのをご存知だろうか。

・・・その日、ホテルのボーイたちは見事な手際のよさで1,000台近い車を駐車させていた。身だしなみもこぎれいで、びっくりするほど丁重で、文字通り車の前後を走り回っていた。実に見事なショーだった。
 そこで私はスピーチのなかでこの点に触れ、「マリオットに敬礼!」と言った。聴衆の間から盛大な拍手が起こったことからみて、ほかの人たちもあの素晴らしいショーを堪能していたようだった。
・・・

この駐車場誘導をしていたのは、実はマリオットのホテルマンではない。「プロフェッショナル・パーキング・サービス社」のスタッフなのだ。駐車場誘導専門会社として、マリオットからこの業務だけを請け負った。

この会社のスゴイ所は、駐車場誘導のプロ人材を派遣し、ホテル側と太い関係を作ったあと、次のステップがある。それは、ホテルのフロント業務全体を請け負うという高度で専門的な事業が待っているのだ。

営業社員が誇りを持てる営業方法、お客から感謝される営業方法を開発するのだ。そのためにはステップを踏んで信頼・信用を積み重ねよう。

読ませるもの、見せるもの、試させるもの、テスト導入、部分導入、などまずはお客にとって有利で気軽なメニューを開発しよう。
そしてそのお試しは、単なるお試しではなく、「プロフェッショナル・パーキング・サービス社」のように、ブッチギリに感動させる品質のものでありたい。

あなたの会社に置き換えると、どうなるだろう?