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うつになった専務

某日、東京にて。
「うつ」で一年以上通院中だというA専務(40才)とお会いした。看板やネオン管を受注製造するAさんの会社は、祖父が創業、父が二代目、Aさんが来年に三代目を引き継ぐ予定だという。
スタッフが10名ほどいて業績も堅調だというのに、なぜ「うつ」に?

実はAさん、昨年夏まで大手広告会社でデザイナーの仕事をしていた。家業を継ぐために家業に入社。その頃から快活さが消えていった。

なにしろ、今までのようなボキャブラリーが社内外で通用しない、常識が違う、意識も違う、デザイナーとしての仕事が出来ない・・・、ことごとく違う。
徐々にAさんは一人でいる時間が多くなり、他人に対しても批判的・攻撃的になっていったという。
Aさんの言葉を借りれば、「やがて自分の性格が、だんだん嫌になっていった」のだ。

Aさんは社内で期待の星の専務なのに、従業員と良好な人間関係が作れなかった。それどころか、

・自分の遅刻は棚にあげて、部下の遅刻には厳しい
・人に嫌みなことを言う(ひと言多くなってしまう)
・気難し屋のように、いつも不機嫌そうにしている

という現象が出始めた。
それらはいずれも“ひょうきん者”と言われた前職の頃にはあり得ない態度だったのだ。

目覚めが良くない、気分が晴れない、酒が旨くない、体調が優れないという理由で心療内科に通い出したAさんが知った単語が「自己不一致」なるもの。
これは心理学の用語で、心の中にある自己像と実際の行動が違う場合に起きる自己矛盾のことだ。


だが、
どっこいAさんは今、立ち直りつつある。少なくともAさんの旧友は、氏が「うつ」だったことに気づく人はいない。心の風邪と言われるほどポピュラーになった「うつ」。うつになることは恥ずかしいことでも何でもない。大切なのは早期発見、早期治療である。

ポジティブ、積極的、完全無欠という言葉が大好きな人ほど自己不一致や自己矛盾を起こしやすいそうだ。

気になる人は、精神科医 兼 作家でもある斉藤茂太氏が“私もうつとつきあいながら明るく生きてきた”と書く「『うつ』がスーッと晴れる本」(成美堂出版)などの本を読まれると良いだろう。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4415070639/ 

また、
「インターネット心療内科」では、幾つかのジャンルで自己チェックできるようになっていて楽しい。
http://www.ikasareteruigaku.org/shinryo/