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責任感は育てるもの

「お前がブルペンで投げる玉を試合でも投げることが出来れば、オレはバットに当てるのもむずかしいだろう」と清原(巨人軍)がブルペンで練習する木佐貫投手につぶやいた。優れた投手でも、精神面が弱いと本番で本来の力が発揮できない。

じゃあ強気でいけば良いのか?というと、そうでもない。打たれるとカッとして力んでしまうのも、強気すぎる弱さだ。投手に大切なのはクレバーさである。

クレバーさとは、責任に対する自覚である。どんな状況になっても、自分の責任を忘れないことである。野球の投手にとっての責任とは、与えられたイニングを最少失点で押さえることだ。
打たれて逆上したり、好投して有頂天になることは責任ある投手がやることではない。それは個人的感情の満足を優先させる行為である。


さて、その責任について過日、田中社長(仮)とこんな話し合いをしたことがある。

田:「武沢さん、うちはWEB制作を主力事業にしているのですが、社員の責任感について不満を感じることがある。社員の責任感不足は、経営者としての私の責任なのでしょうか、それとも人材に恵まれていない私の不幸と考えるべきでしょうか?」
武:「ハッハッハ、ご冗談を。社長の不幸ではないでしょ。でも、どのようなことがあったのですか」
田:「この業界のならわしみたいなもので、毎晩遅くまで仕事をやってくれているのには感謝しています。長時間労働をいとわない、という点では責任感があるのでしょうが、仕事の品質や業績に対する責任感はほとんどない」
武:「具体的には?」
田:「経営をやっているのは私一人だけで、あとは全員が技術者ばかりだと思うことがしばしばあります。と言いますのは、業績検討会議で、月次損益を黒字転換させるための方策を議論しても誰一人発言しない。ノーアイデアというよりは、無関心に近い空気を感じるのがさみしいのです」

この田中社長の苦悩に近い経験をされている中小企業経営者は多いはず。「中小企業の経営者は苦労が多い。その点、人材や資金に恵まれた大企業はうらやましい」などと考えてはいけない。

ユニクロの会長・柳井正氏は、こう述べる。

・・・潤沢な資金があって優秀な人材がおり、モノとチャンスにも恵まれている。そんな状態で事業を始めると、人と同じ方法を安易にとったりするので、失敗するか、当たったところで大した成功は望めないでしょう。当社の野菜を販売する事業も、カネがあり人材もいたから、うまくいかなかったのです。カネがない、ヒトがいない、モノがない、チャンスがないことは、事業を成功させる4大条件だと僕は思っています。
(日経ビジネス「アソシエ」2004年8月17日号より)
・・・

では、中小企業において責任感ある人材をどのように養成するか、ということを考えてみたい。まずは採用から始まっている。

責任ということを体でたたき込まれてきた学生を採用することだ。体育会系の人材が好まれるのは、そうした理由による。責任感とは、もともと個人の属性としてついて回る部分が大きいのだ。

次に企業の施策のなかで責任感を植え付けていく方法について考えよう。

<明日に続く>