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フェアに解雇を

「あなたをこれからも幸せにしてあげるという自信がないので」と言う理由で古参社員を解雇した社長。解雇の哲学がしっかりしている。
社長に課される最も厳しいテストは、部下の解雇だろう。

何か積極的な事に挑むときの勇猛さとは全く別の人格が要求されるようで、部下を解雇できずに困っている経営者が意外に多い。や、おびただしいほどの企業で、本来なら解雇されてしかるべき人々が働いている。

「採用した自分が悪かった。彼から辞めると言って来ない限り、私の方から辞めさせるわけにはいかない」と決定権は社員にだけにあるように考えているかのようだ。これでは、被雇用者だけに不当な権利を補償した雇用契約である。

私は、適切に解雇できる能力は、優秀な人材を獲得する能力と同等かそれ以上に価値があると思っている。


私の2004上半期ベスト書は『プロフェッショナルマネジャー』「ハロルド・ジェニーン著、プレジデント刊」である。以下著者のハロルド氏は米国の大企業ITT中興の祖であり、明経営者の誉れ高い社長だ。
この本の中で著者は次のように述べている。

「誰が、なぜ、いつ・・さらにはどんな風に解雇されるかは、会社とそのマネジメントとリーダーシップの性格の核心につながる問題である。組織に貢献していない人間、あるいは他の全員の努力を妨害している人間を取り除くのは、明らかにリーダーの責任である。

・・中略・・

人を解雇することも又、マネジメントの建設的な役割の一つだと言える。それは会社の空気を浄化し、環境を改善する」

「誰かを解雇するという問題に直面したリーダーは、そういう状況がもたらされたのはどこまで自分のせいか、という事をごまかさず、誠実に反省してみなくてはならない」

として、彼を解雇したい真の理由如何では、リーダーの責任に置いて彼を解雇せず、悪状況を乗り越えろと言い切っている。
それは次の3つの場合だ。

 ・会社がコスト削減の必要に迫られて経済全般の状況のせい
 ・状況が悪く、市場での会社のシェアが落ちてきた
 ・その一方で、成長が認められない、意欲が乏しい、不手際をした、能力よりも自信過剰で業績貢献しない、

など全ての事由に置いては全部解雇しなければならない、という。
唯一例外扱いしているのは、変更も能力もひどく衰えているが、定年まであと2、3年を残すのみ、という場合がある。

基本的に私はハロルドの意見に賛成する。なぜならば、経営者は誰よりも人としてフェアであるべきだと思うのだ。フェアプレーとは、表と裏がないことを言う。
今、評価が低いだけでなく、これからも高い評価を得られそうにないと思えたときには、早めにそれを告知し、それでも変化しない場合は解雇すべきだろう。それがフェアーであり、ハロルドの言う「良いリーダーは紳士的でなくてはならない」という意味だと思う。