世界一硬いダイヤモンドが一瞬で砕け散ることがあるという。『ゴルゴ13』第199話は、「死闘 ダイヤ・カット・ダイヤ」であるが、この作品は、作者のさいとう・たかお氏自らが、ベストセレクションに入れるほどの傑作で私も気に入っている。
このとき、ゴルゴ13が依頼人から頼まれた仕事は、「地上最強の強度を誇るあいつのダイヤモンドを、“銃弾”で砕け」という内容だ。“ダイヤを傷つけるには、ダイヤ以外になし”とにらんだゴルゴは、ダイヤ職人に金を積み、「ダイヤが四散する瞬間を見たい」と頼む。そこで、ゴルゴが目にしたものは、ダイヤといえども他のダイヤを使ってある一箇所を打てば、文字どおり一瞬で四散してしまう事実である。ダイヤにも、結晶上の弱点があるのだ。
この作品を読んだとき、「なるほど、ダイヤモンドですら『アキレス腱』があるんだ」と感動した覚えがある。アキレス腱といえば、・・・。
ブラッド・ピット主演の映画『トロイ』が上映されている。時代は今から約3千年以上前のトロイ戦争を背景にしたもので、「がんばれ社長!」でもたびたびご登場願ったシュリーマンがこの「トロイ」遺跡を発掘している。
さてこの映画で、ブラビが演じるのが「アキレス」だ。ギリシャ軍最大の英雄であり、無敵のヒーローでもある。
ペレウス王と海の女神テティスの子であるアキレスは、私たちの足にある“かかと”上部の「アキレス腱」(正式には踵骨腱、しょうこつけん)の語源にもなっている。
なぜあの腱をアキレス腱と呼ぶようになったか?
アキレスが赤子のころ、わが子を不死身にしようと願った母テティスによって冥界の川に浸される。ところが、母親の手がつかんでいた“かかと”上部だけが生身の弱いままで残ったとされ、以後、あの場所をアキレス腱と呼ぶようになった。
そしてアキレスが成人後、出征すれば早死にする運命にあるという母親の警告をふりきってトロイにわたり、めざましい働きを示したもののアポロンの神助を受けたトロイア王子パリスに、矢を射られて落命する。射られた場所はもちろん「アキレス腱」だ。
以来、強者がもつ唯一の弱点とか、致命的な欠点という意味で「アキレス腱」という単語が日常生活でも用いられるようになった。
あなたにはアキレス腱が何カ所あるだろうか。“かかと”の上部のアキレス腱だけが望ましいが、それ以外にも受けるダメージが大きい弱点があれば、それもアキレス腱になる。
6月3日以降14日まで、私はアキレス腱に攻撃を受け続けた。
いや、自ら攻撃にはまっていって抜け出せなかった。今年に入って三度もこのアキレス攻撃を受けているが、このままでは本当に再起不能になりかねない。
アキレス腱を強くすることはできないが、アキレス腱を強固な防具で固めたり、アキレス腱そのものを使わない方法など、いろいろ考えてみないといけない。