350万人の会員をもつ世界最大のBtoBサイトが「アリババ」だ。創業者のジャック・マーさん(40才)は、4年前にこのビジネスを始めるまでは、英語の先生だった。(正確に言えば、英語の先生のあと北京で「イエローページ」というネット事業を開業したが、うまくいかなかった。その後、アイデアを練り直し、出身地・杭州にもどってアリババを始めて大成功した)世界的ネット企業のCEOが、もともとは文化系というのが面白い。
昨日は、そのアリババ本部(中国杭州)を訪問し、アリババジャパンの佐佐木社長にお目にかかった。私の友人の神原社長(N2U)と李社長(eチャイナ)がアリババさんと親交があり、「がんばれ社長!」をアピールして下さったらしく、私の自己紹介はまったく不要だった。
お互いのコラボレーションの可能性について率直にブレストした。約二時間に及ぶ意見交換の結果、まずは相互にバナーリンクしましょう、という程度のささやかな合意だったが、定期的に交流することを約束した。改めて「アリババ」をご紹介するときがあるはずだ。
さて、今、私は杭州のeチャイナ社に来ている。延び延びになっている「がんばれ社長!」の中国語メルマガ配信を、もうこれ以上延期させないために来た。平たく言えば、こちらで“身柄拘束”されながら原稿と配信作戦のすべてを決めてしまおうというもの。
幾つか作った原稿の中で、こんなものがある。
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「もともと地上には、道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」 (魯迅)
私たちは無意識のうちに誰かが歩いた道を探そうとしがちです。でも、あなたが歩いたあとを誰かが歩き、道になることもあるはず。ビジネスでは、そんな挑戦や冒険を考えてみましょう。
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あっさりした原稿だ。この文字数が130文字ほどある。これを中国語に翻訳し、携帯電話メルマガとして毎週二本配信する計画。中国では携帯電話の「短信」とよばれるショートメッセージ機能でメールやりとりする。その制限文字数が中国語で100文字。翻訳換算すると日本語で120~130文字程度になるのだ。
中国国内でも今では長文のメールやりとりもできる傾向にある。だが、現時点では新型の携帯端末に依存しなければならない。したがって「がんばれ社長!」の中国語版では、厳しい文字数制限の中でスタートする。でも。やがては、制約がないメルマガを出したいと思っている。
翻訳配信パートナーのeチャイナ社内で、日本語と中国語の両方が使える4人のスタッフにお願いし、先ほどの日本語原稿を訳していただいた。
それぞれの個性がある翻訳だが、スタッフ13名全員の意見を聞くと、魯迅の名言部分はAさんの訳が良いと全員が言った。また、私の解説原稿の部分は、全員がDさんの訳が感動したと言った。この出来事をみても、翻訳によって、伝わるインパクトは全然違う。外国では、翻訳パートナーがきわめて重要な戦略テーマになることがわかった。ちなみに、さきほどの130文字の日本語原稿は、翻訳すると70文字になった。
このように、文字通り手探りでスタートする中国語版「がんばれ社長!」は、6月から配信をスタートする。
どの程度の読者が集まるか見当もつかない。1年で100万人集まっているのか、1年後は中止しているのか、それすらもわからない。中国に意気込むことそのものが、「いけそう」という予感と期待によるものだけであり、何事もテストしてみなきゃ何もわからない。
今の時点ではっきり言えることは、好きな外国に来て現地の関係者とミーティングしながら前へ進む作業は、「攻めあるのみ」で圧倒的に面白い。魯迅の言葉ではないが、もともと知名度も名誉も資格もなにもない。誰かが歩いた道もない。冬の朝、新雪の草原を手ぶらで歩むように、私の歩いたところに足跡が残るような感覚で仕事を楽しんでいる。
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