60分のプレゼンの準備に丸三日間費やした営業マン。本番が始まってまだ10分のところで、「よし、決めた!契約する。あとは値段と支払い方法について教えてくれ」と言われた。
「いや、ちょっとお待ち下さい。あと50分ほどプレゼンが残っていますので・・」とあなたは言うだろうか?
私は言わない。
10分でまず契約を決め、必要に応じて、残りの時間でプレゼンをもう一度提案するだろう。
サッカーのジーコJapanを見ていると、未熟なプレゼン営業マンを連想してしまう。
目の前のゴールが空いているのに、さらに味方にパスを出そうとしているからだ。これは、相手に合わせたサッカーをしていないからだ。今の日本代表は、格上相手のサッカーだけをやろうとしているように思える。
ジーコ更迭論もささやかれるが、私はジーコがこの難局をどのように打開し、王国を築いて行ってくれるか、その手腕に注目している。今のところ、がんばれジーコだ。経営の問題と密接に関係してくるのであえてサッカーの話題を中心にしてみたい。
あなたは経営者として、あるいは組織のリーダーとして、今のジーコJapanの難局をどう乗り切るかを考えてみてほしい。
私が監督なら、まず中田(英)選手との関係をきっちりとさせる。
実力と実績はあるのだが、立場が中途半端。彼がチームの求心力をジーコから奪っているような気がする。監督はジーコであり、中田選手は一人の代表選手であって、主将ですらない。そのことを忘れてはならない。
中田(英)選手は、シンガポール戦の直後のインタビューで、点を取りに行くという選手の迫力、勝ちに行くという気迫の両面で「このままで大丈夫なのか?」と不安を口にしていた。これは、暗に監督批判、仲間批判である。
私は、そうした「監督的」「評論家的」なコメントしか言えない選手を起用したりはしない。本当にチーム内に不安があるのなら、選手と監督にそれを直言すべきだ。世間に対して言うべき発言ではない。
事実として、チーム内にはメンタリティの不十分さもあるだろう。キャバクラ事件で選手にキツイお灸を据えたのも、ジーコ自身がチームに緊張感が足りないのを一番気づいていたからと見るべきだ。あえて、中田選手を起用しない。もしくは、ジーコサッカーの申し子として起用する、のいずれかをはっきりさせよう。
次に、技術的に、あるいはシステム的にどうするかを考えてみよう。毎度指摘される日本サッカーの問題点のひとつ、それは決定力不足。たび重なるチャンスを作るのだが、最後にゴールが決まらないという問題だ。
あなたが決定力不足に悩むサッカーチームの監督だとしたら、選手たちにどのような指示を出すだろうか。もし二流の監督ならば、こうするだろう。
・選手を猫の目のように毎試合入れ替えて、好調な選手だけを使う
・もっと決定的なチャンスを作れるよう、攻撃パターンを増やす練習をする
これらは、表面的な解決策だ。私ならこうする。
<明日につづく>