3/12(金)、「中国市場攻略セミナー」と銘打った、株式会社サイバーブレインズ主催のセミナーにコーディネーターとして参加した。70名近い参加者のうち、一部上場企業の管理職が過半数を占め、緊張感あふれるなか、セミナーが始まった。
講師のトップバッターは上海・DREビジネスセンターの貴美島社長(68才)だ。氏は生まれ育ちが香港。ものごころがついたときから中国人の中で生活し、日本と中国との関係をつぶさに見てこられた。また、米国ハーバードビジネススクールAMPを修了後、大和証券入社。その後、アメリカ、フランス、ドイツ、中国、日本など、幅広い国々で様々なビジネスのマネジメントをこなし、米国バージニア州ホリンズ大学の理事も務めるという経歴の持ち主だ。
氏が見聞してこられた世界ビジネスの中で、今後、中国ビジネスをどのようにチャンスにするかを語っていただいた。まず冒頭で氏は、中国の位置づけをこう整理した。
・第一段階:低コストの製造拠点
・第二段階:巨大な消費市場
・第三段階:世界的に優秀な頭脳を活用した開発拠点
すでに、第一段階は終わりに近く、第二・第三の段階を見据えた戦略が必要と説く。
さらに貴美島氏は、日本企業が中国で失敗する共通の因子を披露した。
・リスクをミニマイズするのに無用な時間をかける
・マキシマムリスクの認識と覚悟がない
・自分の頭で考えない
・事業進出に明確な目的がない
・適当な人材がいないのに進出する
・コネに頼りすぎ、又はコネを探すために労力を割きすぎ
・日本での成功体験・保護政策などに浸りきっている
・世界各地から進出してきた競争相手と戦うことの認識がない
など厳しい指摘が相次ぐ。
WTO加盟をきっかけに今後、中国は懸命になって変わろうとしているようだ。法治国家ではなく、人治国家であるとささやかれてきたが、法律整備が着々と進み、情報をディスクローズする方向にあるという。
また、あらゆる分野で市場開放が進む。流通/物流分野、金融、電気、通信、情報などでも規制緩和が進み、法律/会計、税務、監査、コンサルティングなど中国の市場経済化に不可欠なサービス分野でも外国企業の参入を認めていく方向だ。
先に述べた第二・第三段階のチャンスがこうした分野にある。
詳細は省くが、貴美島氏が今もっとも有望視しているビジネス分野は、次の5つ。
・エンタテイメント分野
・ホスピタリティサービス分野
・教育分野
・農業分野
・環境分野
次いで登場した太陽商事の筒井修社長(61才)は、香港を拠点に日中貿易事業歴20年の体験をもとに、中国で成功する要諦を語られた。
貴美島氏同様に、日本と中国は近くて遠い国であることを冒頭で語る。
日本での常識がほとんど通用しない。中国人が日本人と大きく異なる特長を具体的に発表された。
また、体験的アドバイスとして印象的だったのは、
・(可能なかぎり)独資での進出を心がける
・誰と組むか(パートナーやブレーン)次第で、中国はチャンスにもピンチにもなる
・キーマンとなる中国人材と良好な関係を作ることに腐心しろ
の三項目だ。
氏の体験的裏話として、こんな話しが出た。
・駐在員は一流人材を送り込め(または経営者自ら行け)なぜなら日本の窓口になる相手(中国人)は、一流人材だから
・酒を飲むか飲まないか(中途半端な飲み方はするな)はっきりせよ酒を交えた食事の席がとても大切。飲むならとことん飲め。飲めないのなら最初から誠意をもって断れ。場合によっては「飲み」の代理人が必要な時もある
・酔った席での「無礼講」は通用しない。酒を飲んでも、飲まれるな
・公の場では、食事の割り勘はしない。ご馳走になるのが当然と思ってはいけない。何回に一回は返礼の席を設けること
・腹を割って接することが信頼関係の基本。言葉より心だ
<明日は、続きの第三部・四部のお話しをしたい>
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