成田空港に降り立ったザッケローニ監督は、「まるで自分たちがワールドカップで優勝したみたいに迎えられた」と感激した。
日本での 4年間の仕事と生活はあまりに素晴らしい思い出で、これ以上のことは望めないからサッカー指導者を引退することも考えているという。それほどまでに日本を愛してくれたザッケローニ氏が寂しそうに帰国した。
ブラジルから日本に戻ってきたのが 6月 27日の午後 6時。そして、日本からイタリアに帰国したのが 7月 1日。わずか三日間での引き上げに、私は首をかしげる思いである。
その理由は三つある。
まず一つめは、チームジャパン全体で今大会の総括をし、今後の強化プランを話し合ってほしかった。退任会見では、氏の個人的な総括が聞かれたが、監督、選手、スタッフ、技術委員、日本サッカー協会全体の声を集約し、総括の内容をサッカー関係者やサポーターとともに共有すべきではないだろうか。その上で、どのような監督、コーチ、スタッフが必要かの議論に入っていくべきで、監督選びだけが先行しているような気がする。
二つめは、次期監督選びのなかにザッケローニ氏を入れたかどうかである。氏は 61歳とある程度の高齢ながら、体力的にも気力的にも問題がない。(とお見受けする)
「私ひとりの責任だ」とも漏らしているのをみても、今回の敗戦で一番多くのことを学んだのはザッケローニ氏自身だと思う。その人に、もう一度チャンスを与えるという選択肢があってもよい。「敗戦=退任」という約束事が当事者間であったのかもしれないが、合意がないまま、「敗戦=監督の責任=次期監督物色」という見えない流れに乗って動いているようにみえるがいかがなものだろう。
三つめは、ザッケローニ氏から次期監督への申し送りである。前監督と新監督とがきっちり引き継ぎするためには、何度かの監督同士のミーティングが必要ではないだろうか。一対一である必要はないが、監督の聞きたいことは監督が一番知っているはずだ。
原専務理事に一任されたという次期監督選び。余談ながら、原氏のご子息がお笑い芸人「ザッケルゥニィ原」だけに、ザッケローニ氏が帰国することにもっと抵抗を示してもらいたかった。