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はめられたペロー氏

「人は見た目が○%」などと言われるが、人の上に立つ者ほどその重要度は増す。『ツカむ!話術』(パトリック・ハーラン著、角川 ONE テーマ 21)に、イメージに関する興味深いイメージエピソードが載っていた。 22年前の大統領選挙を憶えておられる方も多いと思う。 1992年 10月 15日バージニア州リッチモンドでひらかれた「プレジデンシャルディベート」。この時の大統領選ではクリントンが勝利を収めたわけだが、民主党のクリントン、共和党のブッシュに対抗して無所属のロスペロー氏が二人を引き離していた。「二大政党政治の崩壊か?」とまで言われたが、このディベートあたりから形勢が大きく変わりはじめる。 このディベートではめずらしく民主党と共和党が「打倒・ペロー氏」をめざして共同戦線を張った。身長が 170センチと小柄なペロー氏をさらに際だたせるため、こんな申し出をしたのだ。「ペローさんはお歳ですからディベートの間ずっと立っているのはきついでしょうからスツール(椅子)を用意しましょう」 ところがこのスツールがキワモノだった。身長の高いクリントンとブッシュに合わせた高さだったため、ペローの足が届かない。おのずと、不安定な姿勢になることが多く、ブラウン管でみていた国民に小柄さと落ち着きの無さを強調することに成功した、というのだ。 当時の映像が YouTube にある。椅子のせいで落選したわけではないものの、たしかに見劣りさせることに成功している。 → https://www.youtube.com/watch?v=Jg9qB_BIjWY さらに『ツカむ!話術』によれば、このときクリントンはブッシュを陥れるのにも成功したと書いている。 それによれば、スピーチ中は他の候補者を写さないというルールがあり、現職の大統領として仕事に追われていたブッシュは他の候補者がスピーチしている間は気を抜き、時計を確認したりしていた。それを見てとったクリントンはスピーチ中に意図的にブッシュが写る位置まで移動し、退屈そうなブッシュを写すのに成功したというのだ。 アメリカの大統領選でディベートを行い、それをテレビで放映した最初のケースが1960年のケネディとニクソンのディベートだ。このときもメイクアップやファッションに気を使った者とそうでない者との差が結果にあらわれたと言われている。たしかにオープニングの座り方からして、リハーサルの差が出たと言えそうだ。 → https://www.youtube.com/watch?v=gbrcRKqLSRw