セ・パ交流戦が始まってプロ野球も中盤戦に突入した。セリーグでは前評判の高かった巨人が苦戦し、パリーグでは前評判が低かったロッテが善戦するなど、予期せぬことが起こるのが勝負の世界。
プロ野球の楽しみのひとつに移籍選手がある。フリーエージェント(FA)やトレードで移籍した選手がどれだけ活躍するかという楽しみである。時には移籍したとたんに大化けし、大活躍する選手もいる。もちろん、全然変わらない選手もいるだろうし、悪化する選手がいるかもしれない。
しかし、概して新しいチームで活躍するケースの方が多いのはなぜだろう?
私なりに三つほど理由を考えてみた。
1.期待
2.本能
3.出会い
の三つである。
まず「期待」とは、移籍先で期待されるからである。移籍先が期待しているから移籍話が成立したわけで、少なくとも今い
るチームよりは期待度が高いわけだ。監督やコーチの期待に応えよう、ファンの期待に応えよう、そう思ってがんばるから新しい力が出てくる。多分に精神的な問題ではあるが、期待がもたらす力というのは大きいはずだ。
次の「本能」とは環境変化によるものだ。今年巨人に移籍した井端選手は練習初日、東京ドームへの道を間違えてドームの駐車所に入れなかったという。住む家が変わり、交通が変わり、練習法や方針、選手起用法など、すべてが変わる。新しい環境に慣れるために新人選手のように謙虚に学び練習する。そうしたなかで心機一転、打撃開眼、投球開眼する場合がある。
三つめの「出会い」とは、監督、コーチ、チームメイトなどとの出会いである。そうした中から直接教えられることもあれば、見て学ぶものもある。何らかの新しい技術的ヒントを得て大化けするケースもある。新天地で誰と出会うか、それをどう活かすかということである。
つまり「移籍」というきっかけをモノにするためには上記三つの要素がある。移籍先の環境にどっぷり馴染んでしまう前に、これらの三要素を活かせるかどうかが勝負なのである。