いかなる分野であろうとも、プロフェッショナルになるということには、多大な努力や自己規律が必要だ。
その一端を知る上で、若き日のドラッカーの体験談がおもしろいのでご紹介しよう。
彼が新聞社の論説委員をしていた頃、当時50歳くらいだった編集長は大変な苦労をしてドラッカーら若いスタッフを訓練し、指導したという。
以下、ダイヤモンド社から出ているP・F・ドラッカー著「プロフェッショナルの条件」より引用する。
・・・
毎週末、編集長は一人ひとりのスタッフと差し向かいで一週間の仕事ぶりについて話し合った。さらには、半年ごとに新年と6月の夏休み直前に、土曜日の午後と日曜日を使って半年間の仕事ぶりについて話し合った。
編集長はいつも、「優れた仕事」から取りあげた。次に、「一生懸命やった仕事」を取りあげた。その次に、「一生懸命やらなかった仕事」を取りあげた。最後に、「お粗末な仕事や失敗した仕事」を痛烈に批判した。
この、年に二度の話し合いの最後の二時間を使ってこれから半年間の仕事について話し合った。それは、
・集中すべきことは何か
・改善すべきことは何か
・勉強すべきことは何か
だった。
しかし、新聞社を辞めたあとは、そのようなことをしていたことさえ忘れた。
ところが、その後10年ほどたって、アメリカでこのことを思い出した。1940年代の初めのころ、アメリカで大学の教授になり、同時にコンサルティングの仕事をしていた。何冊かの本も出していた。そのころ、新聞社の編集長が教えてくれたことを思い出した。それ以来、私は毎年夏になると二週間ほど自由な時間をつくり、それまでの一年を反省することにしている。
そして、コンサルティング、執筆、教授のそれぞれについて、次の一年の優先順位を決める。もちろん、毎年八月につくる計画どおりに一年を過ごせたことは一度もない。だが、この計画によって、私はいつも失敗し、今後も失敗するであろうが、とにかく完全を求めて努力するという決心に沿って、生きざるをえなくなっている。
・・・以上引用。
・集中すべきことは何か
・改善すべきことは何か
・勉強すべきことは何か
の企業版が「経営計画書」であり、個人版が「個人経営計画書」であろう。あなたもこのような習慣を取り入れてみてはいかが。
「プロフェッショナルの条件」
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