●・・・蛍のひかり、窓の雪、文よむ月日、重ねつつ。・・・
いわずと知れた名曲「蛍のひかり」の歌い出しである。読んで字のごとく“蛍の光”や“窓の雪”で読書をした「蛍雪時代」がなつかしいという世代の方がおられるだろう。私はそこまで無理して勉学に励んだ記憶がない。なぜなら、日本全国津々浦々に、電気が低料金で普及していたからだ。
●電気を灯すお金がないから、深夜にわずかな灯りで読書する。ド近眼になりつつも、なおいっそう刻苦勉励する苦学生たち。そうした時代環境ではないが、それに近い精神は今の若者の一部に残っている。昨日ご紹介した加賀屋克美さんもその一人だ。
●悲願の米国ディズニーランド勤務を実現するためには、英語が絶対条件だ。そこで加賀屋は何をしたか?
英会話教材? ノー。
駅前留学? ノー。
家庭教師? ノー。
薄給の身では、そうしたお金がかかる方法は使えない。お金がかからず、一人で勉強するにはどうしたら良いか?加賀屋は真剣に考えた。
●そしてやったことは、中学3年間の英語の教科書を引っ張り出して、それをすべてノートに転記するという気の遠くなる勉強法だ。英語が得意ではなかった加賀屋にとって、最初のうちはつらい転記作業に違いないと思いきや・・・。転記するごとに、夢の実現に一歩近づいていくように思えたと言う。
●結局加賀屋は、3年分の教科書を合計6回も筆記した。ものすごい勉強法だ。
さっそく加賀屋さんに聞いてみた。
武:「6回筆記してみて何が変わりましたか?」
加:「英文法のこととか、頻繁に使われる単語の意味なんかがほとんど理解できるようになりました。友人のスコット君と国際電話していても、だんだん言っている意味がたくさん理解できるようになった。」
武:「それで米国ディズニー勤務は実現したのですか?」
加:「はい、もちろん。米国に行く前に日本のディズニーで『スプラッシュマウンテン』がオープンした時、そのスタッフの定員より何倍も多い希望者が抽選会をした。係の方が、『さあ今から抽選開始です』と宣言した瞬間に僕は箱まで走り、一番で抽選をひいた。それが当たりだったのです。」
武:「あなたは強運ですね。」
加:「アメリカでの勤務試験に合格したときも、最初は店舗部門に配属された。でも、来る日も来る日も『スプラッシュマウンテン』のリーダーに、『僕は東京でスプラッシュのスタッフだったのだ。無給で良いからやらせてくれ!』と直訴し続けました。
武:「ほぉ、直談判ですね。」
加:「はい、必死です。そんなある日、『今から着替えてやってみろ。』とチャンスをくれた。うれしかった。そしてイキイキとやらせてもらった。それが認められて、後日、正式に採用された。」
武:「なるほど、スコットさんとの出会いもそうだったし、加賀屋さんの場合、強運というのはふさわしくない。むしろ、運すらもひざまずかせてしまう情熱を感じますね。」
加:「はい、情熱という言葉が大好きなんです。夢を信じ、あきらめずに情熱をもっている限り、失敗も不可能もないと心から思っています。そんな思いを後輩達にも伝えていくことがこれからの僕の大切な仕事です。」
★『趣味+仕事+こだわり=ワールド・オブ・ディズニー』
http://www.mag2.com/m/0000092338.htm