前回の 2009年大会をテレビで見ながら、「次の WBC 大会は生で試合を観たい」と思った。それを Wish-List に書いた。当初、「侍ジャパン」は出ないという決定を下した時もあったが、紆余曲折を経て出場が決まったとき、ホッとした。しかしダルビッシュや上原、イチロー、青木、岩隈など、メジャー組から相次ぐ不参加表明があり、「この顔ぶれで勝てるだろうか?」と心配もした。
おまけに、ダブルエースである田中投手(楽天)と前田投手(広島)がともに不調が伝えられていた。
結局、調子が上がらないまま始まった福岡での一次ラウンド。この三試合をみると、二次ラウンドでもっとも苦戦しそうな国が日本だった。それほどまでに打てない試合が続いた。
その日本が東京ドームに来て、台湾とオランダを撃破し、アメリカ行きを真っ先に決めるのだから勝負は分からないものである。
Wish-List に書いてあったから買えた 3月8日のチケット。もし書いてなければ「テレビで充分さ」とドームまで行かなかったに違いない。
台湾とのこの一戦は一球ごとに勝負がどちらに転ぶかわからない緊張の一戦だった。19時に始まった試合は 24時近くにようやく終わった。東京ドームがひとつになってそれぞれの選手の応援歌や応援パフォーマンスを繰り広げる。「オーオー、オオオオー、オオオオー」という井端選手の応援歌が東京ドーム全体で繰り広げられるなんてことは普段はみられない。稲葉ジャンプをドーム全体で 360度で行われたら地響きがすごい。「これぞ WBC の熱戦である」という試合をネット裏後方の 46列目で見守った。ビールを飲もうという気にならない一戦を見られたことに感謝している。
アウェームード一色のなかで、台湾応援団は大きな声援を送り、マナーも素晴らしかった。応援団だけでなく一球に泣いたはずの選手たちがマウンドに集結して丸くなり、ドーム全体の観客に向かってお辞儀している姿は実に清々しく拍手が鳴り止まなかった。あのマナーは、できれば侍ジャパンがアメリカで見習ってほしい。
激勝のあとのオランダ戦、これも負けられない緊張感あふれる試合なのだが、試合前から選手はすでにリラックスしていた。そのリラックスが普段通りの実力発揮につながり、オランダ相手にまさかのコールド勝ちを果たす。
打線は間違いなく上り調子。あとはマエケンに続く先発投手陣が奮起すれば、アメリカでも好勝負が期待できる。
次の試合(明日、キューバかオランダとやる)では、勢いを落として勝つ必要があるだろう。勢いで打ち勝って世界を取れるとは思えない。特にアメリカラウンドはトーナメント戦。「太盛難守」という四字熟語がある。あまりに勢いをつけて盛んになった者は、それを守るのが困難で弱みを露呈するという意味である。
明日、「太盛難守」にならない勝ち方ができれば日本は勝つ。