2000年夏のことだった。
「武沢さん、良かったらこのセミナーに一緒に行きませんか」と一枚のチケットを手渡された。お相手は岐阜で様々な事業を展開しておられる A 社長だった。 A 社長はその少し前に起きた中国製のやせる石鹸ブームでも大儲けしていた。ときどきご飯をご一緒したが、そのときもいつもの寿司屋だった。
カウンター席でお造りとビールを二人分頼んだあと A 社長が語り始めた。
「武沢さん、次の波は IT だよ。間違いない。だが IT で儲けている会社は少ない。目立っているところでは傘屋の○○、T シャツの△△、電気工事の××、カーテンの◎◎、あと、それらを巨大にしたショッピングサイトを目指しているのが楽天市場だ。今回のセミナーには、その楽天の創業者の三木谷という社長が講演する。なんでも、技術者ではなく、元銀行マンらしい。そんな人間でも株を 3年で店頭公開できたそうだから、わが社にもチャンスは充分にあると思う。このセミナー、一緒に行きましょうよ」
私は儲け話を聞かされると尻がモゾモゾして居心地が悪くなるが、そのときもモゾモゾしたということは、儲け話のひとつと聞こえたのだろう。正直いってあまり興味がなかった。ただ、IT の時代は間違いなく到来していたし今後も急速にパソコンやインターネットが普及するのは当然だと思っていた。だから、経営コンサルタントとして IT の知識を勉強し、そうした備えをしておくことは必要だ。だからセミナーには行く。だが儲け話が目的ではない。そのように自分を整理していた。
一週間後、セミナーに行った。そしてセミナーは終わった。
「とても良かったです」とA 社長に御礼を言いホテル前でお別れしてすぐに私はパソコンショップに向かった。ホームページを作り、情報発信を始めるためである。そして一週間後、『がんばれ社長!今日のポイント』をまぐまぐとメルマから創刊した。ひとつのセミナーがビジネスも人生も根底から変えた。金額換算したら億単位以上のものがもたらされるセミナーだった。もしあのとき A 社長が私を誘ってくれていなかったら、そして、私がセミナーに行くのを拒んでいたら、まったく別の人生になっていたと思う。
セミナーは人の出会いに近い縁のものだ。三木谷社長の講演がとくに素晴しかったわけではない。ただ、私にとって、悟りを与えてくれるひと言があったのだ。おそらく三木谷さんご本人は覚えてもおられないかもしれない。それは、「中核になる技術は人任せにせず、自分でマスターしてください。IT の中核技術は現時点ではホームページづくりです。そのワザをマスターしておくことは社長として IT 部門に強くなる上で必須です。決して安易な社員任せ、外注任せで IT に取り組むのはやめていただきたい」というもので、13年たった今でもこうして覚えている。
あなたにとって縁になることを願って毎日いろんなことを書き、そして語っている。
近々、「今年、業績と収入を倍増させる」というテーマでセミナーを開催する。業績倍増計画づくりと実践のツボを 90分で語るのがこちらのセミナーである。
業績を伸ばしたい、収入を倍増させたいという野心満々のあなたに足を運んでいただきたいセミナーだ。ゲストスピーカーには人気ブロガーの栢野克己(かやの かつみ)さんをお招きし、「人生計画と経営計画」を語っていただく予定。