★テーマ別★

働き方は「雇用」だけではない

昨日号の記事にはたくさんのご意見が届いている。

・1,000万円のセクハラ規定とはさすが弁護士の秘書という感じですが、かえってお互いにそれを意識してしまうのではないでしょうか。
・秘書の今田さんはすごいですね。今時、そんなタフな女性がおみえになるとは頼もしい。いやうらやましい。
・労働基準法にしばられていると社員にムリが言えなくて、不自由を感じていたのですが、雇用契約でなければ当事者同士で働く条件を自由に決められるのだと知りました。発想が広がりました。感謝申し上げます。

誤解があるといけないので、最後のご意見に少々補足を加えたい。

人と労務提供契約をむすぶときには、いくつかの種類がある。一般的に社員が会社に就職するときは、「雇用契約」または「労働契約」を交わすわけで、その待遇は「社員」である。したがって会社の一般的指揮監督関係に入り、一定の規則や規律に従い「労働者」として労務を提供してもらうことになる。「社員」は労働基準法や最低賃金法などの労働法規が適用され法によって守られる。また、原則として社員は労災や雇用保険、健康保険、厚生年金などの被保険者になる。

ところが、社員と同じように働きながらも、契約形態はまったく異なるものがある。それが「委託契約」「委任契約」「請負契約」というもの。立場は「社員」ではなく「事業主」となる。
契約の目的は「特定の業務の処理」「特定の目的の達成」のために交わされ、通常は期間を定めて契約する。社員待遇ではないので労働基準法や最低賃金法など、関係法規の適用はない。当然、健康保険や厚生年金の被保険者でもないし、退職金も不要である。

昨日の今田秘書の場合、「委託契約」「委任契約」「請負契約」のいずれを交わされたのかはお聞きしていないが、事業主扱いであることには違いない。

「彼(彼女)を好条件で採用したいが、賃金体系にそぐわなくなる」とか「彼(彼女)だけを特別扱いしたら、他の社員が反発する」などのときには、こうした契約形態があることを思い出そう。

当然ながら、双方が充分に納得したうえで契約書を交わすことでトラブルを未然に防止せねばならない。