昨年、全国の 100歳以上の高齢者の人口が過去最多の 5万 1376人となった。厚労省が調査を取りはじめた 1963年は、わずか 153人だったので、年率 12%を超える猛スピードで 100歳人口が増えている計算になる。今後もさらに増えると予測されているのだ。
100歳以上を男女比でみると、87:13の割合で女性が多い。それを聞かされて「何だよ、ここでもやっぱり女性が強いのか」と男性のなかには気落ちされる方がいるかもしれない。だが、ものは考えようで、100歳まで長生きすれば圧倒的に男子が減るので、異性からモテやすくなる可能性が高いのだ。100歳からモテ期が始まったり、100歳の同窓会があれば、男子は一人だけということだってあり得る。そうなれば「江戸のかたきを長崎で」ではないが、「青春のかたきを 100歳で」ということも可能だろう。
話を戻そう。
100歳人口の増加は 42年連続になり、特にこの 3年間だけで 1万人も増加しているという。高齢化が本当に急ピッチで進んでいるのが分かる。東京や大阪など大都市に 100歳人口が多いのは当然だが、人口 10万人当たりで割ってみると、意外にも上位は西日本ばかりだ。高知県、島根県、山口県、鹿児島県、沖縄県が全国ベスト 5なのである。
ふたたび余談だが、私はこの五県をみて、土佐、長州、薩摩が入っていることに気づいた。ひょっとして明治以降の中央政府が地元のために何か特別な食事か秘薬を提供してきたのではないかと勘ぐってしまうほど、高齢者が多い 5県中 3県が倒幕藩なのである。
一般論はこれくらいにして、100歳で現役サラリーマンの福井福太郎さんのお話しをしてみたい。『100歳、ずっと必要とされる人』(日経 BP)に載っている福井さんの写真がかっこいい。まず、それに尽きると言っても過言ではない。
いわゆる、従来にないタイプの高齢者というと語弊があるかもしれないが、「ちょっと一杯いかがですか?」とお誘いしたくなる 100歳なのだ。そういう方に初めてお目にかかった気がする。年の差を相手に意識させない 100歳のお写真、これにはカルチャーショックを受けた。
辻堂(神奈川県藤沢市)から神田(東京)まで 1時間かけて通勤する福井さん。都内の山手線では朝のラッシュもずっと立っているが、その手前の東海道本線では快速ライナーの指定席で通勤する。ダークスーツに身を包みビジネスバッグを手にもつ白髪の紳士は「東京宝商会 顧問」の肩書きをもつ。毎朝 4時半に起きて 5時に朝食。8時過ぎに家を出るまで経済紙やスポーツ紙などにも目を通す。
仕事は宝くじの仕分けや経理などで、午後 1時半まで仕事をして 3時には自宅に戻り、9時には寝る。「年をとったなぁ」と感じたのは 80歳ぐらいの時で、それまでは福井さんが誰よりも歩くスピードが早かった。それがきつくなりはじめたのがその頃だそうだ。70歳代で若かったころは宝くじの券をひとりで何万枚も運ぶような仕事を若者にまじってしていた。それなのに 95歳ぐらいからあまり重いものがもてなくなり、年齢を感じるようになったという。
あやかりたいものであるが、明日は福井さんの若さの秘訣や人生観などについても調べてみよう。
★『100歳、ずっと必要とされる人』
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