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東大卒→落語家

論語にある言葉。

「往(ゆ)く者は諫(いさ)むべからず。来る者は猶(な)お 追うべし」去って行く弟子をよびもどす必要はないし、入門を志願する弟子を追い払うぐらいでちょうどよい、という意味である。

あなたのもとに弟子入り志願者があらわれたらどうされるだろうか?しかもその相手が東大生だったら。

東京大学経済学部に在学中、東大総長賞を受賞した。そんな若者が卒業後、落語家に弟子入りした。長い落語の歴史のなかにあって東大卒の入門者は初めてとあって騒然となった。

入門者の名は春風亭昇吉(しゅんぷうてい しょうきち)。1979年岡山県生まれの 24歳の若者で、本名は國枝明弘(くにえだ あきひろ)君という。クイズ番組「ソモサン・セッパー!」に出演したりフジテレビの番組でレポーターもやっているのでご覧になった方も多いはずだ。

國枝君は就職活動した時期もあるらしい。しかし、東大卒から一流企業への就職が本当に幸せかどうか真剣に考えた。後悔しない人生を送りたい。その選択結果が落語家への弟子入りだった。

知人のツテを頼りに春風亭昇太に弟子入り志願した。案の定、最初は色よい返事をもらえなかったが、やがて入門を許される。ところが昇太師匠の指導方針は徹底した放任。つまり、ほったらかし。

ほったらかしは自由でヒマかと思いきや、これが実に厳しい。新弟子の仕事は山ほどある。雑用も含めてプライベートがまったくないほど忙しい。放任なので、自分で知恵をはたらかせ、仕事を覚えていくしかない。

「破門の三箇条」というものがある。

1.罪を犯したとき
2.努力していないとき
3.師匠を尊敬していないとき

これを聞かされたとき、昇吉君は「要は落語そのものを愛せなくなったら破門なんだ」と理解した。

この夏、祥伝社から『東大生に最も向かない職業』も上梓した。
→ http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=3699

落語界のことはもちろん、彼がどのようないきさつでこの世界に飛び込んだのかが綴られているので興味のある方は手にとってみよう。

いまのとこ「東大芸人」という話題で人気の昇吉君。

今後は実力で人気を勝ちとってもらいたい。そう、落語ファンをうならせる話を聞かせてもらいたい。