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結果目標の終焉

年の瀬を迎え、忘年会も今週がピークだろうか。そんなころになると毎年欠かさず行う恒例行事がある。一部の友人と忘年会開始前に行うミーティング『年次総会』がそれだ。

今年一年を振り返り、仕事や家庭・個人それぞれの面で、どのようなことがあったかを文書配布して発表する。さらに昨年の10大目標の結果報告や、新しい一年の重点スローガンや10大目標を発表する。

めざましい躍進をとげる人もいれば、打った手がことごとくはずれ、昨年よりも厳しい状況になっている友人もいる。だが少なくともこのような場に積極的に加わろうとする人たちだから、現状維持型の人はひとりもいない。何かがアグレッシブに変わっている。

私自身も、こうした「場」があることによって、年の瀬であわただしいにも関わらず、必ず一年の総括と来年の目標設定をすることが可能になるのがありがたい。また、お互いの発表を聞きながら、相手を理解することにもつながるので、職場や友人だけでなく、家庭やそのほかの社交的組織でも使えるのではないだろうか。

書式(記入例)はこちらからダウンロードできる。
http://www.e-comon.co.jp/download/index.htm

さて、以上のような話を、A社長にして差し上げたところ、興味深い返答がかえってきた。

A:「武沢さん、結果目標だけを掲げて号令を発する時代はもう終わったと思いますよ。」

武沢:「ほぉ、どういう意味ですか?」

A:「会社でいえば、売上高○○億、利益○億、店舗数○店、社員数○人、生産性○○万円、というような目標設定です。こうした目標を経営計画に掲げ、部門別に割り振り、具体的な行動計画は各部門単位で話し合って決める、そうした経営管理スタイルは時代にそぐわなくなってきているように思うのです。」

何をバカな・・・、と一瞬は感じた。なぜなら、それが伝統的な経営スタイルであり、それをご指導するのが私の仕事でもあるからだ。それを否定しようというのだ。日頃からその言動に注目し、尊敬しているA社長の発言だ。もうすこし突っ込んで聞いてみよう。

A:「結果目標よりも大切なのは、原因作りなのです。売上や利益が伸びてゆくような原因を作るために皆で知恵を出し合うのです。そうして決めた行動計画を積み上げていった結果、来年の売上高や利益は○億円ほどになる、という自然体の成長戦略に切り替えるべきではないかと思う。」

武沢:「なるほど、普通とは逆の発想ですね。一般的には、目標を決めてから行動計画を作るのですが、A社長のアイデアは、行動計画を作ってから目標を決めるというやり方ですね。」

A:「大切なことは、人の成長以上に会社は成長できないという現実を直視すること。従って、人の成長と社内システムの成長に重きを置く。結果としての売上高や利益というのは、目標設定に使うというよりは結果測定の基準値として使うくらいに考えた方がよいと思いますよ。」

なるほど、たしかに「従来型の経営計画はもう作らない」と公言した上場企業の社長もいたほどで、個人の目標設定にも新しい知恵が必要かもしれない。冒頭でご紹介した個人目標の書式も結果目標を設定させるものになりがちだ。

ところで、原因作りに重点をおいた目標設定の書式ってどんな風になるのだろうか。どなたか、良い案があれば書式をメールしていただきたい。採用され、ダウンロードファイルに載せる許可を頂戴した方には、私の書籍とメッセージテープをプレゼントさせていただこう。