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スタッフのマーケティング

「甘えるな。会社は学校じゃないんだ!」という罵声は今後使えなくなるかもしれない。

今朝の日本経済新聞によれば、東芝が企業内大学「e-ユニバーシティ」を設立したとある。企業内教育というものが、いよいよ大学並み、いやそれ以上の機能が求められる時代に入ったと言えそうだ。教育予算が気になるところだが、やり方次第のようだ。

これまでも企業内大学と呼べるものは存在したが、大きく分けて三つに分類できるようだ。

一番古くからある企業内大学、それは、旧・国鉄や電電公社で実施されていた、大学を卒業しないで入社した社員に対して施す大学教育のことである。

次いで90年代後半に入り、IT時代の普及に伴って、ITを利用して専門分野の教育を施す企業内大学が広まった。だがこれらは、対象が幹部候補者限定であったり、教育メニューも専門的・部分的なものに限られていた。

ところが東芝の「e-ユニバーシティ」なるものは、一般社員も対象であるばかりか、大学の教養課程や専門課程など約700にのぼる講座の中から、社員が自分の職種やレベルに応じてコースを選択できるもの。インターネットを使い、時間や場所を問わず利用でき、修了結果が人事制度に反映されるという。もちろん、こうした企業内大学の設立を支援する民間企業もあり、今後、この動きは加速して中小企業にも普及してくるに違いない。

ドラッカーは専門誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」の中で、次のように語っている。

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今日、全ての企業が口を揃えて「人材こそは我が社の宝である」と言っている。しかし、そのとおりに実践している企業はほとんどないし、それどころか、実は人材の重要性を軽視し、恐怖(解雇、ペナルティーなど)で人材を管理する旧態依然とした方法論でことにあたっている。ほとんどの経営者は、無意識のうちに19世紀の経営者と同じように、「我々が人材を必要としている以上に、彼らは我々を必要としているのだ。」と信じ込んでいる。しかし、実際に企業は、製品やサービスのマーケティングを行なうのと同様、またはそれ以上に、スタッフのマーケティングを行なわなければならない。企業は人を集め、これを維持し、評価して報酬を与え、さらにやる気を起こさせ、彼らに奉仕して、満足してもらわなければならないのである。
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ドラッカーの言う“スタッフのマーケティング”とは何か。それは、三つの企業能力からなる。

1.優秀な社員を採用できる能力
2.彼・彼女達を高い満足度と高いモティベーションで雇用維持できる能力
3.彼・彼女達の才能を伸張発揮させることができる能力

この三つの“スタッフのマーケティング”ができることが、文字通り顧客がいる市場でのマーケティングでも成功するのである。

一般的な企業内教育は、次の三つの柱から構成されている。

1.OJT(仕事を通して部下後輩の指導育成にあたること)
2.自己育成支援(読書や講座学習の費用補助や資格取得手当など)
3.OFF・J・T(集合研修。企業内外での教育研修に参加させること)

これに加えて今後の企業内大学は、4本目の柱として追加される教育システムになる可能性がある。あなたの会社の企業内教育のあり方を再考してみようではないか。