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コンサル日誌 vol.2

021007(月) 今日のテーマ・・・一円を笑う!

・100段もある地下鉄の階段。なるべくこれを歩いて登ることにしているが、一気に心拍数は150に達する。少し足元がふらつくが、たまには良いこともある。今朝は何とお金を拾ったのだ。それはあいにく一円玉だったが、落ちているのを見つけた瞬間はドキッとする。だが、「なんだ一円か」と、一瞬だけやり過ごそうとした。

・一円を笑うものは一円に泣く、ということわざを思いだし、腰をかがめて雨に濡れた一円を拾いあげた。

・美意識としては拾うべきだ。淡い記憶だが、たしか太田道灌が川に1両を落としたとき、人に2両を払ってまで探してもらったという出来事があった。もし見つからなければ出費が増えるにもかかわらずそれをした太田道灌は、個人の損得よりもさきに、日本全体の国益をみていた、というのだ。「なるほどぉ、立派なひとだなあ」と感心した思い出がある。

・その反対の極みは、ビルゲイツのエピソードか。
彼が1975年から2000年までの25年間で積み上げた富を時給換算してみると、百万ドルになるという。平日14時間労働として、時給がなんと1億2,500万円也。1秒あたりは35,000円になる。
(『あなたの知らないビル・ゲイツ』文藝春秋刊より)
仮に一万円札を落としたとしても、ビルは拾うべきではない、という計算がなりたつ。

・“太田道灌的”美意識追求か、“ビルゲイツ的”経済合理性追求かは、経営者もたえず格闘している。
あの社員をとるべきか、この数字をとるべきか、彼の将来をみるべきか、今の業績をみるべきか・・・。ハムレット状態が続く。

・この判断のより所になるもの、それが理念や哲学、個人なら価値観というものなのだろう。こうしたものをもっている人はブレが少ない。でもブレが皆無だ、という人も見たことがない。そこが面白い。

020720(土)・・・東京のプレイボーイ

・自称プレイボーイの彼は、ときどきハッとすることを言う。今日もそうだった。

「きれいな女性に対してきれいと言ってはならない。もしキレイであってほしいのならそれも良いが、自分の期待する方向にほめたほうが良い。きれいな女性に対しては「かわいい」とほめる。もともと、素材がきれいな上に、かわいいが加わる。」

なるほど、そうだったのか・・・と感心していると、追い打ちがきた。

「それは企業も同じはず。あまり顧問先をほめすぎると、恥部・暗部を語ってくれなくなるし、褒めないとムッとしたりするから手がつけられない。必要以上に客先を誉めるのはタブーだね。」

なるほど、リードしたい方向に誉める、これは名言だ。

020711(木)・・・約束の仕様書

・社内の連携がわるい、となげく会社に出向いた。全体会議の開始前に到着し、しばし社長とスタッフとのやりとりをみていたら、「おい嶋岡さん、この書類を至急ワープロ打ちしておいてほしいなぁ」と社長がいう。
「わかりました。この原稿ですね、ワードでいいですか?」
「いいよ、お願いね。」
「はぁ~い」

・私は社長に、ワープロ打ちの期限を聞いてみた。すると社長は、「至急と僕は言ったのだから、普通はすぐにやるんじゃないの。」と怪訝そうだ。

・期限を言わずに頼むほう、期限も聞かずに引き受ける方、両方に問題があるが、組織のコミュニケーションは上に責任がある。こうした、ひとつひとつのしつけの善し悪しが社内全体の活力に影響してくるはずだ。
上司としては、「約束の仕様書」を明確にすることに遠慮してはならない。「きっと~のはずだ」「ふつう~なんじゃないの」を追放しよう。