「経営コンサルタント業を始めたのは今から25年前になるが、最初の5~6年は容易じゃなかった。」とハワード・ゴールドマン氏は語る。氏は、今でこそ米国でマネジメント・コーチとして高い評価を得るプロフェッショナルだ。そんな彼が、なぜ最初の数年はうまくいかなったというのか?
「それは、いつもクライアント(顧客)よりも正しい答えを出そうとしていたからだよ。」
「最初、自分はクライアントより頭が良くなければならないと思っていた。また、クライアントより儲けが上手い必要もあると思っていた。だからうまくいかなかった。でもあるとき、そんな必要はないんだ、と気づいたのさ。」
“頭が良い必要はない”とは、何とドキッ!とする話ではないか。
「私がクライアントに何かを教えるとか、指導するというのではなく、クライアントが私と一緒になって何かを創造することの方が、ずっと価値あることだと気づいたのだよ。そちらの方がはるかに情熱的になってくれることにね。」
なるほど。
「そもそもビジネスとは、まずパッションからスタートすることが出来ないだろうか、と常々思ってきた私にとって、この新しいパラダイムは我ながら衝撃的だった。私がマネジメントコーチサービスを始める転機がここにあったのですよ。」
シリコンバレーのベンチャー企業「ガズーバ」のマネジメントコーチを請け負った縁で、同社のCTO(技術担当役員)大橋禅太郎氏と出会う。
「経営のコーチ?」そんなバカな。何かのご冗談でしょ。
当初、大橋氏はゴールドマン氏を受け入れなかった。いや、拒絶していた。ところが、ゴールドマン氏のセッションによってガズーバの経営陣がみるみる変わり始め、組織が一躍、急成長路線に乗る。それがきっかけとなり、両氏は親友となり、今ではマネジメントコーチサービスのパートナーでもある。「このサービスによってマネジメントチームは、今まで得られなかったレベルでの成功を収めることができます。」と大橋氏は言い切る。それはなぜだろうか?
さっそく9/18(水)に、ゴールドマン氏来日記念セッションが行われるというので参加した。その中で印象的だったことを幾つかご紹介しよう。
まずはOSについて。
コンピュータ用語のOS(Operating System)をご存知だろう。例えば、Windows98とか、Windows2000などはOSだ。それ単体では表計算も文書作成もできない。OSの上に様々な目的別のソフトウエア(アプリケーション)が乗ることによって、パソコンは必要な道具として機能する。企業にもそれぞれの企業ごとにOSが存在する、とゴールドマン氏は指摘する。しかもそのOSは、通常、2種類しかないとも言う。
そのひとつが、「デフォルトOS」(初期設定OS)であり、世の中の大多数の企業がこちらのOSがインストール済みだという。もう一つのOS、それが「ハイパフォーマンスOS」という。
ほとんどの組織は「デフォルトOS」のはずで、その思考回路は次のようになっている。
1.問題発生 → 2.原因は何だ、責任は誰だ → 3.それを直せ!
というOSだ。例をあげると次のようになる。
大切な早朝会議に遅刻してやってきたA君に対して、会議責任者はどう反応するか。
普通は、「何してたんだ!」「なぜ遅れたんだ!」とお小言をいうか、理由を尋ねるだろう。するとA君は、あらかじめ用意してあった回答をする。
「すいません。目覚まし時計の電池が切れてまして、おまけに列車事故もあったみたいで・・・。以後、注意します。」
この背景にある思想は、
・遅刻の原因は、乾電池と列車にある
・自分自身は悪くない
・いや、むしろ自分も被害者なんだ
・・・これが「デフォルトOS」(初期設定OS)だ。
この「デフォルトOS」がいけないとは言わない。なぜなら、正しく論理的なアプローチでもあるからだ。少しずつではあるが、問題解決にむけて前進するように仕向けられている。そういう点では評価に値するOSでもある。
だが、決してハイパフォーマンスとは言えない。
では「ハイパフォーマンスOS」とはどのようなものか。明日に続く。
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