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理想主義のワナ

Rewrite:2014年3月20日(木)

誤った理想主義者や完璧主義者がいる。自分にも他人にも理想を求めすぎる人達だ。むしろ重点主義・本質主義のほうがうまくいきやすい。

旧友のA氏はコミッションセールスマンからキリスト教の牧師になった変わり種だ。そのA氏がセールスマン時代に陥った「理想主義のワナ」をご紹介しよう。

セールス成功の極意は面談時間を増やすことだと気づいたA氏は、まず自らの時間管理にメスを入れた。朝起きてから夜寝るまでのタイムスケジュールを5分刻みで計画し、それを強じんな精神力で守ることを誓った。
彼のそうした試みがスタートして半月後、筆者と再会したA氏はその成果を語ってくれた。
「武沢さん、あの試みは一週間で挫折したよ。最初はすごく充実感があったけど、やがてスケジュールを守ること自体が自分の目標になってしまって肝心の中味に打ち込めない。それに移動時間も会議時間も家族団らんも予定通りにならないことが多すぎる。」とこぼしていた。その後、A氏は重点主義に切りかえ、週間単位での面談時間数だけを管理し、業績を伸ばした。

この話は時間管理の話だけではない。経営管理も同じではないか。
重点思考のほうがうまくいく。いや、むしろ重点思考にしないと中小企業やベンチャーはうまくいかない。先日、ある経営者の話を聞く機会があった。「さすが!」とうなることを言っておられた。まず、聴講者に向かってこう質問したのだ。

「あなたがもしディスコの経営者なら、成功させるための最重要要素を何にしますか?立地ですか?料理ですか?音楽ですか?設備ですか?それとも他になにかありますか?」
氏は続けた。「ボーリングでストライクを取りたければセンターピンに当てないといけません。センターピンをはずせば普通、ストライクは取れないのです。皆さんの事業が成功するためのセンターピンは何ですか?」

<明日につづく>