ブラック企業でまじめに働き、サービス産業もいとわずハードワークする人たちのことをブラック社員というらしい。ブラックの経営を助長しているとして問題児扱いされることもあるそうだ。
法律違反を承知のうえで社員を酷使し、利益をほしいままにしている企業はブラックとして大いに糾弾されてしかるべきだろう。だが、ブラック社員を問題視するのはいかがなものか。
まずブラック企業問題については、私は三つのジャンルに分けて考えるべきだと思っている。
1.意図的・悪質なブラック
社員を安くこき使うというような経営者の哲学、姿勢からして間違っている会社は世の中から一掃されるべきだろう。
2.ないソデはふれないブラック
100%法令遵守すると会社の存続ができなくなる中小零細規模に多い会社。件数ではこれが一番多いと思われる。
3.カリスマ社長のブラックリーダーシップ
うちで働く以上は、これぐらいの努力をして当然だ。そのかわり、将来は大きな酬いが待っているのだから、という指導姿勢の会社。
実は、若い社員が伸びるのは「3」の会社なのだが、それがブラックだとなると、カリスマ社長はもっとソフトな指導が必要となる。体罰を禁止されたスポーツ指導者と似ていなくもない。
「2」の会社に対しては、私はこう尋ねることにしている。「やむを得ない現状であることは分かりました。今後はどう対処しますか?」と。待遇の改善計画がない会社、改善しようと思っていない会社は「1」の経営者に分類されると考えておくべきだろう。
先日、ある社長夫人が冗談まじりに「武沢さん、助けてください。このままでは過労死しそうです。うちはブラック中のブラックです」と泣きついてこられた。残念だが、自営業者や個人事業主にとってはブラックもホワイトもない。
業界に革命をもたらしたような素晴らしい会社なのに、一部の現象だけをとらえてブラック企業のレッテルを貼ってしまう当世の風潮に疑問を感じるが、以上のようなスタンスでブラック問題を整理してはどうだろう。