”思考と行動は魔法のペア”といわれる。それらは表裏一体のものである。人間の行動は、思考を反映したものであるから、行動を変えたければ思考を変える必要がある。また、行動を変えることによって思考を変えることも可能だ。
自己を変え、会社を変えるためには、自己と自社に対する新しい考え方が必要になる。もし仮に、ある会社の社長が次のような考え方に固執していたらどうなるだろう。
・我が社はありふれた会社であり、製品も技術もサービスもありふれている
・我が社で働く社員はお世辞にも優秀とはいえず、あまり大した成果は期待できない
・この業界はマイナス成長している。だから、我が社も前年並みの業績を維持するのは大変だ
・日本はもう斜陽の国だ。そのなかにあって、とりわけ我が地域は遅れている。ここで仕事をしている限り、成長する可能性は低い
などなど。
100歩ゆずって今は本当にそのような会社だとしても、そうした現状がつづくことを受け入れる必要はない。明日以降のことに関しては完全にあなたの意思にかかっている。卓越した製品や技術、サービスを提供できる会社になり、熱意あふれる社員が胸のすくような働きをする会社にしてみせるという気概をもとう。その気概を経営計画書で表明しようではないか。
次に、社員の仕事観も変えていこう。
もし次のような仕事観を社員がもっていたら、社長が何を力説しようとも”のれんに腕押し”となる。
・上のポストはすでにふさがっている。給料もポストも期待できない以上は、仕事以外のことで生き甲斐をつくろう
・評価が良くても悪くても何ら処遇に反映されないのなら、上司の評価なんて悪くても結構だし、嫌われたって構わない
・顧客も上司もあれこれ私に意見や希望を言うが、ほとんど自己中心的なわがままを押しつけているだけで聞くにたえない
こうした誤った仕事観や会社観をもっている人が企業に貢献してくれるとは思えない。ましてや、こうした考え方の社員が幹部の中にいたとすると、それは”盗人に追銭”のような行為だ。
仕事とはどういうものか、会社とはどういう場所なのか、ということのあなた流の新しい答え、正しい答えを経営計画書に書き込もう。それを朗読するたびに背筋がシャンとするようなものを作りあげよう。会社によっては、『社員憲章』や『社員ハンドブック』などの名称で経営計画書とは別冊にして配布し、輪読している会社もある。
思考と行動は魔法のペアだから、社長がたっぷり時間を費やすに値するテーマである。