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リーダーシップ

Rewrite:2014年3月26日(水)

アメリカの陸海空軍にはそれぞれ士官学校があり、そのプログラムの骨格をなすものはリーダーシップ教育だ。その内容を調べていくと多くの興味深いことを発見する。そして、世間で行われているリーダーシップ教育だけでは見落としがちなことを発見できるのだ。
軍隊のリーダーは、部下からその命を預かる。軍事行動の目的は多種多様だが、戦争においては勝たない限り命を失うのだ。職を失う程度の問題では済まない。そうした環境のなかで、絶えず適切なリーダーシップを発揮するためには、「知識」「科学」「人格」の総合力が要求されるのである。

とりわけ、有能なリーダーの人格特性について軍隊では、「忠誠心」を第一に掲げている。
忠誠の対象としてもっとも重要なのは、国家に対する忠誠である。次いで上司に対する忠誠であり、部下への忠誠も同様に重んじる。優れたリーダーの第一ステップは、優れたフォロー者になるということだろう。上司に対する忠誠とは、心から上司に奉仕し、自分自身の言行によって上司の権威を揺さぶるようなことがあってはならない、ということだ。

新任リーダーのために、「忠誠テスト」として次のようなことを行うそうだ。
それは、自分も部下も賛成しない評判の悪いことをあえて命令し、部下に対する伝達能力を問うというものだ。「俺は気にいらんのだが、上官の命令だからやむを得ない。悪いけどこの命令はやってくれ。」というような伝達態度は、最悪の評価を受ける。これは、一見「忠誠」に見せかけた、最大の「不忠」なのだ。だれよりも早く部下がそれを見抜き、尊敬を失うのである。

民間企業でもまったく同じことで、「よく判らんが、社長が決めたからやるしかないだろう、無駄だとは思うが・・・」というような会話をしてはならないし、させてもならないのだ。
会社の決定に対して、自分の考えと一致すれば忠誠心を発揮し、一致しなければ反対するという態度は、意思決定されるは許されても、決定後においては許されない。会社の決定に対して、部下の前で疑義を差しはさむことはリーダーの資質を欠くことであると言わねばならない。

忠誠の対象は、上司・部下だけではない。家族や友人、それに信念や目標に対する忠誠がある。さらに忘れてならないのは、自分自身に対する忠誠だ。自分に対してウソをつかないということだ。忠誠とは「オールorナッシング」であり部分的忠誠や条件付き忠誠などはあり得ないのだ。「半分だけ信じてあげる」ということは、すでに疑っているのであって忠誠とはいわない。