世界経済

再び「ジャパン・アズ・ナンバーワン」

●かつて日本はアメリカに次ぐ世界2位の経済大国であり、国民一人あ
たりGDPは先進国でナンバーワンだった。
「政治は二流だが経済は一流」とアメリカをはじめ世界中の国々が
本から学び、手本にした。
「ジャパン・アズ・ナンバーワン(日本が一番)」という本までハ
バード大学出版局から出版されるほどだった。

●だが、バブル崩壊以後、日本は政治だけでなく経済も二流に転落
た。それどころか、その後30年間にわたってGDPの成長率が他国のおく
れをとりつづけた。「失われた30年」である。
GDP世界2位の座は中国に奪われ、昨年はドイツにも抜かれて4位に転落。
振り向くと5位のインドが激しく追い上げてくる。

●インターネットの波にも乗り遅れた日本は、2000年以降、国民一人
あたりGDPでも転落の一途をたどった。最新のランキングでは32位と底
なし沼に落ちたみたいだ。世界一賃金が高かった日本人の給料も、
や24位。世界一高かった日本の物価もいまでは「日本はリーズナブル」
とインバウンド客が殺到する。
海外で「日本化する」「日本病」といえば停滞とデフレを意味した

●こうしてみると、日本を見捨てて国外に脱出したい気分に襲われ
くる。海外に活路を求めるのはいつの時代でも大いに結構なことだが、
日本を見捨てて本当によいのだろうか?

●実は昨年あたりから日本を評価しなおす動きが出始めていること
お気づきだろうか。為替こそ円安基調が続いているものの、物価が
較的安定し経済も底堅い。デフレからも脱却できそうだし、今年は
イナス金利も解除されて金融政策も正常化しそうだ。

●エヌビディアやオープンAIは日本に研究開発拠点をつくるといい、
台湾セミコンダクターはソニーと共同で熊本に生産拠点をつくって
る。ウォーレン・バフェット氏は「日本株への投資は成功した。今
も日本株を買う」と公言し、世界最大の資産運用会社「ブラックロ
ク」のラリー・フィンクCEOは昨年来日し、「80年代の日本の奇跡が再
現されようとしている」と語り、日本への投資を増やすと言い残し
国した。

●今、なにが日本に起きているのか。
実は、日本ではなにも起きていない。
世界が日本を見る目が変わってきたのだ。

かつて「日本化する」とか「日本病」といわれた成長の限界が、今
は先進国の多くで起き始めている。「日本病」は日本だけの特別な
象ではなく、少子化・高齢化が進むとすべての国が「日本化」する
とに気づき始めたのだ。その最たる例が中国だろう。

●こうなると、従来からある経済指標では一国の経済の実態が分か
なくなってくる。単純なGDPの総額を競うのであれば、人口が多い国が
有利になる。一人あたりGDPを競うのであれば、国民の平均年齢が若い
国が有利になる。なぜなら、労働力人口の比率が高いからだ。

●だったら、生産年齢人口一人あたりのGDPで計算しなおすべきではな
いかと唱える経済学者が増えてきた。労働人口から外れた人を母数
ら除外するのだ。そうすることで、純粋に労働者一人あたりのGDPや生
産性が把握できる。そして、そのように計算し直してみると、なん
日本は世界の先進国で過去15年間、ナンバーワンだったのだ。

●つまり、近年もっとも経済成長率が高かった国は日本だったのだ
これは24年の正月早々、ウォルストリートジャーナルが報じたもの。
日本の「失われた30年」は、実は大間違いで、すばらしく成長してい
たのだと評価が変わりつつある。それに気づいた一部の投資家が日
買いを行い、それに気づいた一部の経営者が日本に拠点をつくりは
めている。

★日本の経済成長率はG7トップ、この指標なら
https://ganbare.biz/comon/vy6j

●私は4K企業レポートを13年間発行しているが、日本の上場企業や
ベンチャーは一貫して強いことを実感している。それに比べて日本
は相対的に安く放置されている。