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日本版ライドシェア4月解禁

●今年春から日本でもライドシェアサービスが解禁される。海外では、米国を拠点に世界に配車網をもつUber(ウーバー)やLyft(リフト)、中国Didi Chuxing(ディーディー、滴滴出行)、東南アジアを拠点とするGrab(グラブ)などが有名だ。この4社はすでに株式上場もしている。

●また、近い将来には自動運転車の配車サービスも開始される。日本のホンダはGMと提携して2026年初頭には自動運転タクシーサービスを始めると発表した。
最初は都内の中央区、千代田区、港区、江東区の一部などで行い、徐々にエリアを拡大する予定。

●さて、今春スタートのライドシェア。これはあくまで「つなぎ」の予定だ。なぜなら将来的に自動運転タクシーが普及すればタクシー不足は解消され、料金も安くなる。すると人間が運転するライドシェアのニーズはなくなるはずだ。

●東京の都心や京都などの観光地、あるいは人口過疎地ではタクシー不足が深刻な問題になっている。タクシー待ちが緩和されるのは歓迎だが、名古屋をメインに暮らしていると、現状に不満はない。
「GOタクシー」などタクシーアプリの普及でタクシーに対する不満は完全になくなった。

●そうした中、ライドシェアが始まる背景には全国的なタクシー不足がある。タクシーの車両が足りないのではなく運転士が不足しているのだ。その緩和策としてライドシェアを導入するわけだが、タクシー業界はずっと反発してきた。(今も反対である)

●その理由は既得権益が脅かされるせいもあるが、「ライドシェア導入のまえにタクシー業界の規制緩和や、乗降システムの改善など、すべきことがある」というのだ。

●たとえば東京駅八重洲口のタクシー乗車場。混雑時には30分以上待たされる。タクシーが足りないのも大きな理由だが、タクシー乗り場が3箇所しかないのも混雑に拍車をかけている。あれを増やせば待ち時間は減る。

●法律やルール、システムを変えればタクシーに対する不満の多くは改善されるのにそれを放置してライドシェア導入を急ぐのはおかしいというわけだ。

●また、タクシー運転士になるために二種免許が必要な上に、「地理試験」にもパスする必要がある。二種免許の合格率は50%。「地理試験」も約50%。何度落ちても再受験すればよいのだが、そのたびに数千円の受験料が必要になる。運転がうまいのに地理試験がダメで断念する人もいるという。

●そのほか、タクシー業界では朝夕のアルコール呼気検査やカメラによる顔撮影、免許証検査などを毎日行っている。車両点検や車検も法で定められたルールを守っている。ライドシェアを行う個人にこうした義務付けが無いのであれば、対等な競争とはいえない。

●たしかにタクシー業界の反発にも筋が通っている。折衷案として日本型ライドシェアはタクシー会社に個人が登録する形でスタートするそうだが、細部はまだ決まっていないことが多く、課題山積のまま部分解禁される。