IT,インターネット

企業としてのSNS活用元年

●先週金曜日は「SNSセミナー」(Zoom)を開催した。

 Live参加者20名、録画参加者10名、合計30名の申込みがあり、すでにSNS活用中の方
 から検討している方まで熱心に90分の講義に耳をかたむけていただいた。

●ひとことで言うと、企業のSNS活用は黎明期であること。今までは大企業が中心になって 
 SNSのインフルエンサーに出稿してきた。
 その橋渡しをしてきたのがUUUMなどの会社なのだが、最近は企業自らSNSで発信力を
 高めようとしている。

●その流れは中小企業や個人事業主にも及んできた。
 今回のセミナー講師の村越慎司さんは海外起業の経験があり、北米やアジアのネット
 ビジネスに造詣が深い。現在は「発信ラボ」の代表として企業や個人のSNS戦略・戦術を  
 コンサルティングされている方だ。

●ハウスメーカーや専門企業のSNS戦略の相談がすごく増えているという。
 SNSというとFacebookやLINE、Instagram、Xを連想するが、動画配信の
 YouTubeやTikTokもその範疇に入る。特に最近は動画SNSが勢いを増している。

●SNSというと「若者のもの」というイメージがある。たしかに若い人が多数利用している
 のは事実だが、若者ゆえにSNSに詳しいわけではない。飲食店やコンビニのアルバイトが
 ふざけた動画を仲間うちにアップしたのが拡散し大炎上した。回転寿司店や牛丼店で
 いたずらした動画をアップし、逮捕にいたるケースが相次いだ。これは何を意味するか。

●村越さんによれば、SNSという場所がもはや友人同士のパーソナルな空間ではなくなった
 ことに気づいていない若者がいるということ。
 SNSはすでに公共のスペースであるという現実を知らないと、発信したものはアッという
 間にネットに拡散され、マスメディアにまで伝搬してしまうのだ。
 それほどまでに強い影響力をもつSNSを武器として活用しない手はない。
 では企業はどうあるべきかという前提で講義が進んでいった。

●最近、百均大手の「Seria」(セリア)でプチ炎上事件があった。

 社員のひとりが良かれと思って発信をはじめたSNSが予想外に影響力をもってしまった。
 しかも会社の公式アカウントであるかのように振る舞ったため、他企業もそのSNSに
 参画した。

●あわててセリア本社は「無関係」であることを発表。当の社員と話し合いをもったが、
 結局は2.3万人のアカウントを集めたサイトを泣く泣く削除した。

●いかに2.3万人のファンを集めることが大変なことか。それを知っている者としては
 「実にもったいない」としか思えないが、上場企業のコンプライアンス上、苦渋の決断
 だったのだろう。SNS戦略が後手にまわり、社員だけで暴走してしまった結果である。

●その一方でアパレルの「パルグループ」はSNSを戦略的に活用した。
 社員個人がSNS発信者であることを期待し、社員の発信パワーを活かすことにした。
 そして一定のフォロワーを集めると手当を支給することにした。

★パルグループのインフルエンサー制度
 https://palgroup-recruit.jp/workplace/incentive/

●その結果、会社全体で1,000万人を超えるフォロワーを獲得するにいたり、
 あの「ヒカキン」をこえるSNSパワーを企業として持つにいたったわけだ。
 そのおかげで同社の業績は絶好調である。

●社員の個人SNSを武器にするのか、それとも企業としての公式アカウントだけに
 するのか。あるいは併用型でいくかは最初の段階で決めておく必要がある。

さて明日は、セミナー受講者とのSNS一問一答をご紹介したい。