国内経済

「ペロブスカイト」事業が本格スタート

●日揮ホールディングスが新たな太陽光発電事業に参入すると発表した。もともと同社は
太陽光発電に注力していたが、今回の発表では、次世代太陽電池の本命といわれる
「ペロブスカイト」をつかった発電事業であることが特徴。

★日揮HD、曲がる太陽電池で「発電所」 ビルや店の壁に(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC176R30X11C23A0000000/

●従来の太陽光パネルはシリコン製のため、一定の厚みが必要なうえに丈夫なガラスで
保護する必要があった。厚みも重量もあるため、設置できる場所が限られていたわけだ。

●ところが「ペロブスカイト」は液体に溶かしてフィルムに塗ることが可能なため、
まるでシールのように薄くて軽くて曲げられる。
シリコン製パネルの設置が困難だったビルの壁面や耐久性の弱い屋根にも設置できる。
さらには工場や物流倉庫、店舗など「どこでも発電」が可能になった。

●実はこのノーベル賞級の技術を開発したのは桐蔭横浜大学の宮坂力(つとむ)教授で2009年のこと。その後、この技術に注目した中国や欧米が関連特許を取得した。
特に中国が猛スピードで製造に関する特許を取得し、コストの安さにおいてペロブスカイト事業で世界をリードしているのが現状だ。

●とはいえ、ペロブスカイトの市場規模は世界でもまだ数百億円程度。
「ペロブスカイト」事業はまだ始まったばかり。2035年には1兆円ほどに達するという
試算もある。

●さらにいえば、ペロブスカイトに関する重要特許は日本にあり、日本が中国を再度巻き
返す余地は充分に残っている。
日揮HD以外に、トヨタ、パナソニック、東芝、リコーなども参入を発表しており、
日本発のこの技術が日本企業によって世界を席巻してもらいたい。